社会福祉法人の内部留保をめぐるアカウンタビリティ構築プロセスの研究
Project/Area Number |
16K17218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Field |
Accounting
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中澤 優介 愛知学院大学, 商学部, 准教授 (30755856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2018: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2017: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | アカウンタビリティ / 戦略的アカウンタビリティ / 定量化 / 通約 / 倫理的負荷 / 倫理的暴力 / 倫理 / 透明性 / アカウンタビリティ・レジーム / 統治性 / 生権力 / 暴力性 / 社会福祉法人制度改革 / 他者 / 複数価値 / 会計学 / 公会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会福祉法人での内部留保の会計処理を取り上げ、この会計処理の設定によってアカウンタビリティが新たに構築されるプロセスを研究している。 本研究の交付申請書の「研究の目的」に記載の3つの研究目的のうち、これまでは「アカウンタビリティの履行において、想定された責任関係からの「ズレ」が生じる問題の構造」を明らかにする研究を重点的に進めてきており、この研究に関して一昨年度および前年度は、戦略実現に資するアカウンタビリティ(戦略的アカウンタビリティ)の可能性について考察を行った。 上述の研究目的に関して、想定された責任関係がその責任を果たす手段であるアカウンタビリティに十全に落とし込めていないことがこの「ズレ」をもたらす要因の一つとして考えられる。この点について、これまで研究してきた戦略的アカウンタビリティは、(少なくとも規範的なレベルでは)果たすべき責任が明確に規定され、その責任を果たす手段としての役割を全うするものであるといえることから、本年度においては、この戦略的アカウンタビリティの研究をさらに展開した。具体的には、明確な責任の規定やその責任をアカウンタビリティに落とし込む際に不可欠となる定量化(数値化)に焦点を当て、この定量化に関連して社会学の領域において研究が展開されている「通約」(commensuration)の観点から、定量化という行為を分析的に捉え、定量化の各プロセス(次元)が、規定された責任関係をアカウンタビリティ関係に落とし込むプロセスにどのような影響を与えるのかを文献に基づき調査した。この調査を通じて、通約不可能なものの戦略的活用の可能性など、研究を進めるうえで有用な情報を得ることができたが、通約概念の理解やそれにまつわる議論の整理に研究時間の多くを費やすこととなり、当該年度内に具体的な研究成果に結びつけることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続き新型コロナウィルスの感染拡大がたびたび起こるなか、授業の実施方法が急遽変更になるなど、教育活動において不測の事態が生じ、その事態への対応に多くの時間を要したことから、例年と比べ研究に充てることのできる時間が少ないものとなった。また、文献調査に基づく理論研究については、前年度の研究内容をさらに展開する形で研究を進めたが、「通約」概念の理解や当該概念に関連した会計学領域の研究でなされている議論の整理に時間を要したため、進捗に遅れが生じている。また、実施予定であったインタビュー調査に関しては、インタビュー調査先の選定や調整がこれまでも難航していたことに加えて、新型コロナウィルスの感染拡大が続いている状況であったため、当初の実施予定より大幅な遅れが生じている。 インタビュー調査は研究計画上も複数年度に渡って実施する予定であるため、今後も実施に向けての調査先の選定・調整を継続的に行っていくが、現時点でも新型コロナウィルスの影響がいつまで続くのかの先行きは見通せないため、次年度においてもインタビュー調査が実施できない事態も想定される。したがって、次年度においては、新型コロナウィルスの影響も踏まえインタビュー調査の実施可能性を窺いながら、前年度設定した研究実施方策に基づき研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
実施予定であったインタビュー調査が新型コロナウィルスの影響もあり今後も実施することが困難な場合に備え、「現在までの進捗状況」の欄でも記述したように、前年度において、文献調査のみで交付申請書の「研究の目的」に記載の3つの研究目的を達成できるようにするための研究実施方策を設定した。この実施方策は、文献調査に基づいてこれまで進めてきた、現状での「アカウンタビリティの履行」という行為が置かれている状況やその在り方の詳細な分析(本年度に実施の「通約」の観点からのアカウンタビリティ研究もここに位置付けられる)をもとに導出予定のアカウンタビリティの規範的な在り方と、文献調査をもとに明らかにする内部留保の会計処理法導入後の社会福祉法人のアカウンタビリティの現状との比較分析を行うものであり、さらにこの比較分析を多面的に実施するためにも、社会福祉法人の内部留保に関する会計処理法が設定されるに至ったプロセスについても文献調査を行うというものである。 したがって次年度は、本年度に引き続き、文献調査に研究時間の多くを充て、本年度の研究内容をさらに深化させることも含めた上記の研究実施方策を着実に進展させることで、研究成果に結び付けていく。具体的には、得られた成果の論文での発表や学会での報告を予定している。
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Report
(6 results)
Research Products
(6 results)