Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 本研究の目的は, 事象を幾何学化し, 図形の性質などを用いて問題解決する力を育成することを意図する教材及び評価方法を開発することである。生徒の身近な社会の問題場面において, 事象を幾何学化し問題解決する力, 広義の幾何学化に焦点を当て, その育成をめざすケーススタディ型の教材を開発する。 研究方法 「AEDマップ」に着目した。AEDマップとは, 突然に心停止となった方に対してAEDが使われる機会を増やし, 救命率を向上させることを目的に, AED設置情報を提供するものである。本教材では, AEDの設置場所がわかるだけではなく, AEDが必要になったとき, どの設置場所へ行くべきかを示す地図を作成する, 4~5時間扱いのケーススタディ型の教材を開発する。そして, 解決過程に内在する幾何学化を明らかにすることで本教材の価値を明らかにする。 研究成果 本教材「AEDで救える命を増やそう」は, 社会的文脈の問題を解決するために必要な, 複数のモデルを作成し, その結果を数学的に解釈したり, 修正したりする活動が含まれた教材であると言える。本教材に内在する幾何学化には, 理想化や簡単化, 現実事象の捨象による幾何的モデルの作成, 必要に応じた始点の変更による円モデルの作成, モデルの比較と修正等があり, それらを一つの問題解決を通して育成しようとするところに本教材の価値があると考える。また, 本教材で扱ったボロノイ図は, GISを活用した空間分析における応用的な方法の一つである。次期学習指導要領の地理総合では, 持続可能な社会づくりを目指し, 環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察するためにGISを活用することが必須となっている。したがって, 本教材は社会科や総合的な学習などと連携した扱いが可能であり, その点においても本教材の価値があると考える。
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