Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2008: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2007: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
雑草防除を容易に省力化できれば, 更なる作業体系の拡充等が可能であろう. 適応範囲として北海道のような寒冷地域の積雪下に限定されるが, 寒剤の凝固点降下現象の雑草発芽抑制への利用の可能性について, 2年間のポット・圃場試験を行った. 試験1年目に寒剤の圃場散布を模した調査を行った. 雑草埋土種子の出芽を有意に減少させるに十分な温度低下は高濃度の寒剤(30%w/w)で確認されたが, これは塩傷害をも誘引し, 凝固点降下効果が薄い0.4%w/wの寒剤混和でも塩害様相を呈した. 一方で, 雑草埋土種子の出芽は, 寒剤を混和せずに-20℃以低にまで低下させれば減少し, また, 十分量の雪と寒剤が混和されれば,-20℃近辺まで低温化する凝固点降下も確認された. これらのことから, 寒剤を圃場に直接混和することなく凝固点降下の効果のみを抽出, 土中に伝達させれば, 翌春の雑草数が減少する可能性が考えられた. 試験2年目には, 高濃度寒剤を包含したシートの圃場被覆を模した調査を行った. この手法による雑草埋土種子出芽抑制効果は, 十分量のNaCl, CaCl_2, MgCl_2を用いた際,-20℃〜-80℃程度の低温条件と同等と示された. 次に融雪剤として市販されているMgCl_2を用いて, 圃場(エンバク緑肥圃場として用いられる圃場で, 除草剤処理は一切行っていない)での小規模実験を行った. 寒剤シートで処理すると, 対照区に較べ総雑草数は5%水準で有意に減少し, 雑草種に依っては(エノキグサ)1%水準で寒剤の効果が認められた. ただし, 本圃場の優占種だったシロザ等については効果が薄かった. シート被覆後に播種されたエンバクについても処理の効果は示されなかった. 以上のことから, 降雪前の圃場に寒剤を含む資材(繰り返し使用可能)を土壌被覆することにより, 春〜夏期の出芽雑草数を抑制できる可能性が示唆された. しかしながら資材の選定や抑制効果の安定性・強度に課題は残され,更なる検証が必要であると結論した.
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