Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は「床面の物理特性が日本古来の常歩(なみあし)という特徴的動作における踏切動作特性へ与える影響」を、剣道を例に明らかにすることである.本年度はまず、床面の物理的特性を検証するために一般的な体育館と剣道を専門としておこなっている道場に関する調査をおこなう.その後、大学生剣道選手や、異なった技術を持つ一般剣道愛好家を被検者とし、それぞれ異なった床において、踏切動作中の下肢の筋電図ならびに筋振動測定をおこなった.プロジェクト1 : 体育館・剣道場の調査床面の物理的特性を明らかにするために体育館や剣道場の床振動周波数特性を計測する.測定予定の体育館および剣道場は3都県内(群馬県、東京都、神奈川県)の大学やスポーツセンター等の体育館とした.プロジェクト2 : 剣道の踏切動作と床の物理的特性との関係床の振動周波数の結果を踏まえ、概ね3つのグループ(振動周波数 : 高、中、低)に分類した.その後、それぞれの床面(体育館や剣道場)に対しての踏切動作をおこなわせ、その時の下肢の筋動態、及び筋振動を測定する.なお、実験試技は正面打撃(単打撃)、小手面打撃(複数連続打撃)の2種類とし、デジタルビデオカメラを用いて、キネマティックデータを求め、それらを複合させ検討をおこなった.実験設定は3種類の床面おいて、踏切動作中のEMG測定(前脛骨筋、腓腹筋、大腿四頭筋)、踏切動作中の加速度測定(腓腹筋、大腿四頭筋)をおこなった.測定部位は左右の下肢とした.その結果、一般の剣道場のほうが、固い床面の体育館でおこなわれるものよりも筋活動が多い傾向が認められた.このことより体育館で活動をおこなう場合、怪我の予防を十分に考える必要性が示唆された.また、高齢者の場合、動作様式も考える必要も示唆できた.