Project/Area Number |
19H01247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
玉田 敦子 中部大学, 人文学部, 教授 (00434580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 隆穂 中部大学, 中部高等学術研究所, 特任教授 (00126830)
深貝 保則 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (00165242)
坂本 貴志 立教大学, 文学部, 教授 (10314783)
畠山 達 明治学院大学, 文学部, 教授 (10600752)
隠岐 さや香 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60536879)
井関 麻帆 福岡大学, 人文学部, 准教授 (70800986)
三枝 大修 成城大学, 経済学部, 准教授 (80707662)
飯田 賢穂 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 研究員 (90806663)
石井 洋二郎 中部大学, 人文学部, 教授 (90134402)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2019: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | 啓蒙 / ヨーロッパ文学 / 思想史 / 新旧論争 / ジェンダー / フランス文学 / ドイツ文学 / 科学史 / 近代 / 人文学 / 古典古代 / 古代表象 / 18世紀 / 19世紀 |
Outline of Research at the Start |
18世紀ヨーロッパにおいては各国の覇権争いが苛烈になる中で古典古代の表象が積極的に利用された。 本研究では研究課題の核心をなす学術的「問い」として(I)「近代とは何か?」、(II) 「近代国家の形成、特にその文化的アイデンティティの形成において、古典古代の表象は如何なる役割を果たしたのか?」という2点を設定し、代表者、分担者のこれまでの文献研究を発展させる形で展開していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
I. 2021年度はパンデミックの影響により、当初予定していた海外での資料調査やシンポジウムの開催などはかなわなかったが、4回の研究会をオンラインにて開催した。まず(1)2021年7月31日は研究分担者の坂本貴志氏が「近代における古代表象と民族意識の形成―ヨーハン・ゴッドフリート・ヘルダーの進化論的古代神学」というテーマで、(2)11月21日は研究分担者の畠山達氏が「近代国家の文化的アイデンティティ形成における古代表象の諸相―中等教育にみる「古典」とその反射」という内容で、(3)2022年3月2日は研究分担者の隠岐さや香氏が「自然科学、数学の表象にみられる古代と近代」というテーマにて報告をおこなった。(4)さらに3月29日には東京藝術大学の井奥陽子氏を招聘し、単著書籍『バウムガルテンの美学:図像と認識の修辞学』について報告をいただいた。これらの研究会では、各報告者が本研究課題に関してそれぞれ独自に進めた専門研究について発表をおこない、研究分担者がコメントをして共に議論をおこなう形で本課題を多角的な視点から検討した。 II. また2021年6月28日にオンラインにて開催された日本18世紀学会43回大会においては、研究分担者の隠岐さや香氏が共通論題「学問・芸術の制度と『自由』─18世紀におけるアカデミー、大学、官僚機構」にてコーディネーターを務めた。このシンポジウムにおいては、隠岐氏が「パリ王立科学アカデミーと『自由』」、玉田が「近代語による国家の創設─アカデミー・フランセーズと啓蒙期の言語革命」という題目の報告をおこなった。この共通論題に関しては共著書籍の準備が進んでいる。 III. さらに中部高等学術研究所においては安藤隆穂氏と玉田が2016年から主宰してきた共同研究「人文学の再構築」にて、3回の研究会をオンラインにて開催した。この共同研究に関しては、各研究会の内容を編纂し、それぞれ別記のとおり刊行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は引き続き、本研究課題における研究の主軸となる海外研究者との共同研究、および国内外における文献調査の中断を余儀なくされた。文献調査に関しては、代表者を含め、在籍する研究機関に十分な文献資料がない場合、国内の他大学の図書館も利用できず、研究資料へのアクセスに大きな障害が発生した。 上記の事情により、研究の進捗は「やや遅れている」状況であるが、今年度は、研究分担者と共に4回のオンライン研究会を開催したことで、多くの発見があり、考察を深化させることができた。本研究課題における考察は2023年5月現在、未公刊の内容も多いことから概略の記述にとどめるが、これまで主に明らかにされたのは、ヨーロッパの近代国家が形成される過程において古代ギリシア・ローマの表象が利用された背景には、歴史記述の再構成による文化的アイデンティティの「アプロプリエーション〈盗用的利用〉」の側面があるという点である。この点について今年度は、近代のフランスにおいて古代表象が有する特権的な価値、中でも「崇高」や「英雄性」といった男性的な価値が国家の文化的アイデンティティの基盤と考えられていた点に着眼し、考察を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者の玉田は、2022年度の中部大学海外研究員に採択され、2022年4月より1年間、リール大学「知識、テクスト、言語」研究室(UMR 8163)のGabrielle Radica教授による招聘のもとで研究を進める。フランス滞在中は、海外研究協力者のRadica教授をはじめ、第一線で活躍する近代フランス思想・文学研究者の協力を得てリール大学古典資料センター、フランス国立図書館、ジュネーヴ大学図書館における資料調査をおこなう。またRadica教授と共にリール大学にて「ディドロと美学」をテーマとした研究集会を開催する。 さらに2022年度はパリやジュネーヴにて、海外研究協力者のCeline Spector(ソルボンヌ大学)、Martin Rueff(ジュネーヴ大学)とも研究打ち合わせを重ねることで研究の飛躍的な発展を図る。海外研究協力者との研究成果としては、まず2023年の7月にAntiquity and the Shaping of the Future in the Age of Enlightenmentというテーマで開催される国際18世紀学会ローマ大会でのセッション、「ルソーと古代:いかに近代は構築されたか?」を完成させる。このセッションにおいては、上記海外研究協力者と研究分担者の井関麻帆氏と共に研究報告をおこない、フランス語による共著書籍を刊行する予定である。 また、ローマ大会では、オックスフォード大学名誉教授、P.コーフィールド国際18世紀学会会長からの依頼を受け、研究分担者の隠岐氏と玉田が、渡辺浩東京大学名誉教授を筆頭著者とした基調講演(「The Makings of Antiquity : Japanese Experience in the Seventeenth and Eighteenth Centuries」)をおこなう。
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