バナナ栽培農民の戦略の地域史と食料主権に関する比較研究
Project/Area Number |
19H04361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
小松 かおり 北海学園大学, 人文学部, 教授 (30334949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 靖明 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30533616)
田中 啓介 東京農業大学, その他部局等, 助教 (60747294)
北西 功一 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (80304468)
小谷 真吾 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90375600)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | バナナ / 地域史 / 食料主権 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、現代社会で最も脆弱な立場にある熱帯の小農の戦略の歴史について、主食バナナ栽培を共通項として比較し、それを元に、農民を含む地域の住民の食料主権のあり方について検討する。 バナナは、アグリビジネス企業に寡占されるグローバル商品である一方、熱帯の重要な主食作物でもあるが、主食作物としてのバナナは、グローバリゼーションの中で周辺化されてきた。現在も、アフリカ、パプアニューギニア、東南アジア、中南米など世界各地の熱帯で重要な作物である。このようなバナナ生産地域における農民の戦略を比較することによって、農民の決定権と住民の食料主権のあり方について検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バナナという作物を比較の軸として用い、農民の戦略という視点から比較することで、穀物を中心として国民単位で考える食料主権とは異なる食料主権のあり方を考える。これまで蓄積したバナナ栽培と利用に関する基礎的資料の追加に加えて、国家単位と地域単位の農業史と農産物の流通史の調査を行う。また、各地で収集した品種のサンプルのDNAを解析し、地域内の品種間の遺伝的多様性と、各地の品種間の遺伝的距離を測定し、バナナ栽培の歴史を復元することを目的としている。 これまでに、国内で、沖縄本島、小笠原諸島、八丈島の「島バナナ」をはじめとする各種バナナのサンプルを採取し、あわせて、各地で、バナナの移動に関する聞き取り調査を実施した。また、パラオで品種に関する聞き取り調査を実施し、国内で採取したサンプルを加えて系統解析をした結果、19世紀以降、小笠原諸島、八丈島、琉球列島、パラオなど、歴史的に「日本」に含まれる/含まれない、地理的にオセアニアの一部とされる地域が密接な交流を持つことがわかった。バナナの品種分析が、オセアニア・アジアの地域史と農の歴史を明らかにすることが見えてきた。 アフリカでは、遺伝子組換えバナナの開発が行われているウガンダにおいて、農家の品種選択における主権に関する論文を出版し、国際学会で発表した。 また、代表者は、チームによるこれまでのバナナ研究を一般向けにまとめ、「バナナの足、世界を駆ける-食と農の人類学」という著書を出版し、料理バナナという国家から補足されずに残った主食作物が、食料主権に資する可能性について論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナにより、2020年度・2021年度の調査が限られ、遅れがでた。 2021年度には、小谷がパラオに渡航し、短期調査を実施するとともに、Palau Community Collegeの研究チームにバナナのDNAのサンプル取得を委託した。その結果は、田中啓介による分子系統解析を経て、小谷による小笠原諸島の調査結果、小松かおり・佐藤靖明による沖縄調査結果とあわせて、2022年度、Palau Community Collegeの共同研究者との共著論文として、"A Regional History of Oceania Viewed through the Genealogy of Banana Cultivars of Japan and Palau"として、People and Culture in Oceania誌に発表した。 アフリカにおいては、佐藤が、遺伝子組換えバナナの開発が行われているウガンダにおいて農家の品種選択における主権に関する論文を出版し、小松が2021年度に予定していたカメルーンでの調査を2022年度に実施し、カメルーンのバナナの系統解析用サンプルを採取した。現在、持ち出し許可を待っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、2022年度終了の予定であったが、2020年度・2021年度はコロナ禍で現地調査が停滞したため、2023年度まで繰り越して現在調査を継続中である。 国外では、すでに収集したサンプルの持ち出し許可手続きを進めており、あわせて、国内の歴史的調査も進めている。 2023年度夏までに集まったサンプルを系統分析し、日本を含むアジアとオセアニア、アフリカにおける農民のレジリエンスとバナナの品種多様性についての知見をまとめる予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(17 results)