Empirical Political Science Research on the Issue of Compatibility and Contradiction between Science and Indigenous Knowledge in the Arctic Island of Greenland
Project/Area Number |
19K20514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University (2021) Hokkaido University (2019-2020) |
Principal Investigator |
高橋 美野梨 北海学園大学, 法学部, 准教授 (90722900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 互酬(共生) / 功利主義 / 混淆 / グリーンランド・イヌイット / 科学知 / 在来知 / グリーンランド / 互酬性 / 人間と自然の交流の位相 / 市場 / 公衆衛生 / 自然 / 科学 / 資源管理 / グローバルな標準化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、科学と在来知とはいかにして共存し協働することができるかという問いに対して、グリーンランドの先住民族社会における2つの事例から実証的に応答しようとするものである。第一に、生物資源(クジラ等)の捕獲をめぐる科学と在来知に焦点をあて、捕獲枠の算定等の決定過程に着目し、その争点を検討する。第二に、当該生物の処理・消費・廃棄プロセスから立ち現れる衛生観念をめぐる科学と在来知に焦点をあて、グローバルな標準化の動きをふまえつつ、科学と在来知の調和と背反の諸相を明らかにする。グリーンランドの事例を通して、異なる知の体系を持つ主体同士の権利承認、知識再生、対等な関係構築のための和解の在り方を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度からの継続課題として、グリーンランド・イヌイット(課題内では「エスキモー」と併用している)社会における互酬(共生)的な自然への処し方と、功利主義的なそれとの混淆(や折衷)の局面を丹念に跡付けていくことがあった。今年度は、この「混淆」なるものの生成過程の解法を探求する上で、チュコトカ半島からグリーンランドへと至るイヌイットに焦点を当てた研究を整理し、本課題の位置を明確にした。 植民地化―キリスト教化との相乗―以降、イヌイット(社会)は、近代(国家)が失った人間のあるべき姿、いわば原初性のようなものを投影した空間として機能した。イヌイットは、厳しい自然環境に適応しながら生存する存在として高く評価された。それは、実態とは一致しない、近代(国家)を再定位するための想像の空間だった。その上で、イヌイット(社会)が近代(国家)へと変質していく程度が議論された。 このような非対称な関係を見直す過程で創出されたのが、「ネイティブ」という視角だった。しかし、この視角は「内部性」を特権化する、つまりネイティブの語りを無毒化して聖域化することにつながった。イヌイット(社会)から近代(国家)を単方向的に評定することになり、従来の二項の図式を再生産するジレンマを抱えることになった。 こうした二分法からでは十分に咀嚼できないネイティブ―非ネイティブのあわいを、特に1980年代以降の先住民の現前と歴史の多元化という視角から捉え直そうという機運が高まった。その際に、節合(articulation)と生成(becoming)を経た混淆(hybrid)という視角の持つ意味が検討された。 本課題は、節合・生成(など)から混淆へと至る議論の解像度を高めていくことに貢献するものであることを確認した。なお、予定していた現地調査は、新型コロナウイルスによる影響が長引く中で、取りやめざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クジラやアザラシといった具体的な生物資源を事例に、グリーンランド・イヌイット社会における科学知と在来知の調和と背反の局面を理解していくところから始まった本課題は、人間と自然の交流の結い目に着目することで立ち現れる「混淆」を捉えていこうとする問題意識に落とし込む(あるいは昇華させる)ことになった。これには大きく二つの理由があった。一つは、新型コロナウイルスによる影響が長引く中で、予定していた現地調査を取りやめざるを得なくなったため、研究の実現可能性の観点から多少の軌道修正を行ったため。もう一つは、課題を展開する中で、グリーンランド・イヌイット(社会)における科学知や在来知の現在地を非歴史化せず、時間と空間の両面から跡付ける際に、両者の混淆をこそ主題とする必要があったため、である。 今年度はこのことに対する理解の深度を深めることができたと同時に、研究史を整理することで、議論の土台を整序できた(論文として脱稿し、国際ジャーナルに掲載された。その加筆修正版は書籍の導入部として利活用される)。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度は、研究成果を広く社会に還元することをも含め、一般書として書籍を出版することが決定しており、出版スケジュールに沿って研究をまとめていくことを最大の目的とする。その際に、書籍は、本課題で提示する分析視角に基づき、複数の人文社会科学系の研究者(デンマーク人研究者含む)の知見を借りながら、学際的な共同研究の成果としてまとめる。また、書籍を元にした成果公開として、日本・デンマーク両国での公開シンポジウム、市民向けセミナーの開催を計画する。加えて、代表者は、本課題と紐づける形で国際共同研究加速基金(国際共同研究強化A)に採択されており、当該書籍を携えつつ、現地の研究者との更なる協働を計画する。
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Report
(3 results)
Research Products
(31 results)
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[Book] Permafrost and Culture: Global Warming and Sakha Republic (Yakutia), Russian Federation (CNEAS Report Book 26) (English Edition)2021
Author(s)
Hiroki Takakura, Vanda Ignatyeva, Yoshihiro Iijima, Alexander Fedorov, Hirofumi Kato, Atsushi Nakada, Yuka Oisi, Tetsuya Hiyama, Masanori Goto, Yuichiro Fujioka, Toshikazu Tanaka, Sin Sugiyama, Syunwa Honda, Hotek Pak, Fujio Onishi, Minori Takahashi, Sinichiro Tabata, Natsuhiko Otsuka, Mathias Ulich, Otto Habeck
Total Pages
94
Publisher
Center for Northeast Asian Studies, Tohoku University
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