部分的上皮間葉細胞転換(ハイブリッドEMT)の安定化因子を標的とする肺癌治療
Project/Area Number |
19K22617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 53:Organ-based internal medicine and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (70467281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 哲成 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30621635)
湯川 博 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (30634646)
田中 一大 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40809810)
川井 久美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (50362231)
川口 晃司 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (10402611)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 上皮間葉細胞転換 / 創薬 |
Outline of Research at the Start |
上皮間葉細胞転換(EMT)は癌細胞が上皮系から間葉系へ転換し悪性度を増強する現象である。これまではEMTを完了した細胞の悪性度が最も高いとされてきた。しかし、応募者の準備データは部分的なEMT細胞の方が完全なEMT細胞に比べ悪性形質が高いことを示唆する。また、部分的EMTを安定化する未知の因子の存在が推測され、これは癌の悪性形質を決定する有望な治療標的の可能性がある。以上より、本研究は肺癌治療標的として期待される部分的EMTの“安定化因子”の発見およびそれらを標的とする創薬を目的とする。方法として、応募者開発の正常気管支上皮細胞モデル(HBEC)を用いた機能的なスクリーニングなどを実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
上皮間葉細胞転換(epithelial to mesenchymal transition, EMT)は癌細胞が上皮系から間葉系へ転換し悪性度を増強する現象である。これまでは、完全にEMTを完了した細胞の悪性度が最も高いと信じられてきた。しかし、最近の報告と研究代表者の準備データは予想に反し、部分的なEMT細胞、すなわちハイブリッドEMTの方が完全なEMT細胞に比べ癌幹細胞性質などの悪性形質が高いと示唆する。また、ハイブリッドEMTを安定化する未知の因子の存在が推測され、これは癌の悪性形質を決定している有望な治療標的の可能性がある。本研究は肺癌治療標的として期待されるハイブリッドEMTの“安定化因子”の発見を目的とする。2019年度はEMT安定化因子候補である遺伝子A(論文未発表にてAとする)の肺癌細胞における機能を評価した。遺伝子Aノックダウン足場依存性増殖にはほとんど影響がなく、足場非依存性増殖能を強く抑制する結果を得た。 2020年度は、肺がん細胞株パネルを使用して遺伝子Aの発現と上皮系マーカーであるCDH1(E-cadherin)発現および間葉系マーカーであるVimentin 発現との相関を解析した。結果は、遺伝子Aの発現はCDH1と正の相関傾向を示し、逆に、間葉系マーカーであるVimentin 発現と逆相関の傾向を示した。この結果は、遺伝子Aが肺がん細胞の上皮性性質を関連することを示唆した。さらに、オンラインツールを用いて遺伝子Aの肺がん検体における発現量を評価した。腺癌および扁平上皮癌において、正常肺組織と比較すると遺伝子Aが高く発現していることを複数のデータセットにおいて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度はEMT安定化因子候補である遺伝子A(論文未発表にてAとする)の肺癌細胞における機能を評価した。遺伝子Aノックダウン足場依存性増殖にはほとんど影響がなく、足場非依存性増殖能を強く抑制する結果を得た。2020年度は、肺がん細胞株パネルを使用して遺伝子Aの発現と上皮系マーカーであるCDH1(E-cadherin)発現および間葉系マーカーであるVimentin 発現との相関を解析した。結果は、遺伝子Aの発現はCDH1と正の相関傾向を示し、逆に、間葉系マーカーであるVimentin 発現と逆相関の傾向を示した。この結果は、遺伝子Aが肺がん細胞の上皮性性質を関連することを示唆した。さらに、オンラインツールを用いて遺伝子Aの肺がん検体における発現量を評価した。腺癌および扁平上皮癌において、正常肺組織と比較すると遺伝子Aが高く発現していることを複数のデータセットを用いて確認した。以上の結果は、遺伝子Aが上皮性の性質と関係し、かつ、がん細胞の悪性形質に寄与することを示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌の治療標的としての可能性を持つ遺伝子Aの機能評価を軸に研究を推進する。これまでの結果は、遺伝子Aが上皮性の性質と関係し、かつ、がん細胞の悪性形質に寄与することを示唆した。この結果は、一般的に上皮間葉細胞転換(epithelial to mesenchymal transition, EMT)が、がん細胞の悪性形質に寄与することとは相矛盾するが、一方で、遺伝子Aによる上皮性保持が何らかの機序で癌の悪性形質に関係することを示唆する。2021年度は、この機序解明を目指す。また、遺伝子A以外のハイブリッドEMTの“安定化因子”の発見についても引き続き実験を進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)