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窒素固定細菌のエクソソーム様膜小胞の機能と形成機構の解明

Research Project

Project/Area Number 19K23665
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0601:Agricultural chemistry and related fields
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

高瀬 隆一  京都大学, 農学研究科, 助教 (10842156)

Project Period (FY) 2019-08-30 – 2022-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2020)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords膜小胞 / 窒素固定細菌 / X線結晶構造解析 / 走査型電子顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 / プロテオーム解析 / 微生物機能 / 細胞膜小胞 / 構造生物学 / 合成生物学
Outline of Research at the Start

近年、グラム陰性細菌により形成される脂質二重層構造をもつエクソソーム様の細胞外膜由来膜小胞(outer membrane vesicle, OMV)が、免疫からの忌避やシグナル伝達物質の輸送など多様な機能を有することが分かってきた。本研究では、グラム陰性窒素固定細菌Azotobacter vinelandiiを対象に、OMVの機能とその形成に関わる分子機構とエネルギー産生・消費機構を解析することによりOMVの生理的意義を明らかにし、細菌OMVと真核生物エクソソームとの間の普遍性の観点から細胞外の膜小胞の分子進化モデルを提唱する。

Outline of Annual Research Achievements

近年、グラム陰性細菌の細胞外膜から形成され、産生される細胞外膜由来膜小胞(outer membrane vesicle, OMV)が、他の細菌や宿主との相互作用に重要な生理学的意義を果たすことが明らかになってきた。当研究室においてもグラム陰性窒素固定細菌Azotobacter vinelandiiの産生するOMVにアルギン酸が内包され、防御形態(シスト化)に関与することを見出している。しかし、OMVの普遍的な形成機構やその他の機能には未解明な点が多い。本研究では、A. vinelandiiの産生するOMVに着目し、その形成に関わる分子機構と新たな機能を見出すことを目的とした。
A. vinelandiiのOMVに多量に含まれることを明らかにした機能未知タンパク質Avin_16040について、その機能を立体構造から明らかにするため、X線結晶構造解析を行い、分解能2.09オングストロームで構造解析に十分な良好なデータを取得した。
OMVの形成に関わることが予想されるAvin_16040近傍機能未知タンパク質遺伝子7種類と、エネルギー消費モデルに基づいた3種類のGTP加水分解酵素遺伝子の各破壊株を育種した。その結果、GTP加水分解酵素であるAvin_45830の遺伝子破壊株は培養時間の経過に伴い、細胞の長さが野生株と比較して5倍以上となることを明らかにした。本結果は、Avin_45830遺伝子が正常な細胞膜の合成に関与していることを示唆している。現在、膜小胞の生産性について解析している。
さらに、本菌とグラム陰性細菌Bacteroides thetaiotaomicronのOMVのプロテオーム解析の結果を比較し、共通して含まれるリポタンパク質などのタンパク質を同定した。これらの中にOMV形成に関与するタンパク質が含まれることが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

窒素固定細菌A. vinelandii由来OMVの形成機構と新規機能を解明するため、特筆すべき結果を含む以下の成果を得た。
膜小胞に多量に含まれるAvin_16040について、高分解能のX線結晶構造解析に適した結晶を作製した。
OMV形成に関わると予想されるAvin_16040近傍機能未知遺伝子7種類(Avin_15990, 16000, 16020, 16050, 16080, 16090, 16100)について、各遺伝子破壊株を走査型電子顕微鏡観察に供した結果、細胞膜の形状はいずれも野生株と類似しているため、今後、多重遺伝子破壊株を解析する。また、OMVの形成における細胞膜の変形について、エネルギー消費型のタンパク質GTPaseが関わると予想し、A. vinelandiiのゲノム中に含まれる機能未知タンパク質を含む3種類のGTP加水分解酵素遺伝子(Avin_15540, 18960, 45830)破壊株を育種した。その結果、興味深いことにいずれの3株も細胞の長さが野生型と比較して長くなっており、特にAvin_45830破壊株は細胞長が5倍以上長くなっていた。Avin_45830は細胞質局在性を示すタンパク質翻訳に関与するBipAのホモログタンパク質であり、既にOMVにも内包されることを明らかにした。本結果は、細胞長が異常に長大化することを観察した新規な成果であり、Avin_45830が正常な細胞膜の合成・切断に重要であり、OMV形成にも関与する可能性があることを示唆している。
さらに、A. vinelandii由来OMVと他のグラム陰性細菌B. thetaiotaomicronのOMVのプロテオーム解析の結果を比較し、83種のタンパク質が重複して含まれることを明らかにし、OMVの普遍的な形成機構を解析する端緒を得た。

Strategy for Future Research Activity

窒素固定細菌A. vinelandiiが産生するOMVの形成機構と機能を明らかにするため、以下の予定で研究を推進する。
A. vinelandiiは窒素固定細菌であり、植物の生育を促進することが知られているため、OMVにも固定化窒素化合物が含まれることが期待される。そこで精製したOMVに含まれる窒素化合物等のメタボロミクス解析や、精製したOMVを植物に直接添加した際の植物の生育への影響を調べることで、窒素化合物に着目した新たなOMVの機能の同定を目指す。また、精製したOMVを蛍光標識し、植物細胞への接着能を蛍光顕微鏡を用いて評価することで、窒素固定細菌由来OMVの植物への影響を明らかにする。
膜小胞に多量に含まれるAvin_16040について、セレノメチオニン標識タンパク質の結晶を用いた多波長異常分散法により立体構造を決定し、立体構造が類似したタンパク質の性質からAvin_16040の機能を類推する。また、野生株と本タンパク質遺伝子破壊株から調製したOMVを各種評価系(植物細胞接着能など)に供し、本タンパク質のOMV形成あるいは機能に与える影響を解析する。
膜小胞の形成に関わると予想される遺伝子(Avin_16040近傍機能未知遺伝子7種類、GTP加水分解酵素遺伝子3種類)の破壊株について、OMV形成能をOMV精製後に蛍光標識し、評価する。形成に影響することが認められた遺伝子については、当該遺伝子に蛍光タンパク質遺伝子を付与し、細胞内での蛍光顕微鏡観察を通じてOMV形成機構の一端を明らかにする。
A. vinelandiiとB. thetaiotaomicronのOMVに重複して認められたタンパク質計83種類についても同様に各遺伝子破壊株を育種し、上記の破壊株と同様にOMV形成能を評価する。

Report

(2 results)
  • 2020 Research-status Report
  • 2019 Research-status Report

Research Products

(1 results)

All 2020

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 動物宿主由来多糖を資化する腸内優占菌の膜小胞形成2020

    • Author(s)
      幸田 有希渚 、髙瀬 隆一、渡辺 大輔、野村 暢彦、橋本 渉
    • Organizer
      第93回日本生化学会大会
    • Related Report
      2020 Research-status Report

URL: 

Published: 2019-09-03   Modified: 2021-12-27  

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