Dramaturgy of comedies and their reception in the late German Enlightenment Age - In comparison between Lessing and Weisse
Project/Area Number |
20K00498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 英起子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (60571065)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ヴァイセの青少年向け演劇 / ヴァイセの児童演劇 / 『若い学者』 / 『女嫌い』 / 『ミンナ・フォン・バルンヘルム』 / 『アマーリア』 / 博愛精神とユートピア / 変装の手法 / 児童演劇 / クリスチャン・フェーリクス・ヴァイセ / 『ハンブルク演劇論』 / ゴットホルト・エフライム・レッシング / 啓蒙喜劇の作劇法 / 感動喜劇 / ハンブルク演劇論 / レッシング / ディドロの演劇論 / 演技論 / ヴァイセ / 作劇法 / 啓蒙時代後期のドイツ喜劇と受容 / レッシングの喜劇 / C. F. ヴァイセの演劇 / 喜劇の作劇法 |
Outline of Research at the Start |
本研究では①レッシングの『ハンブルク演劇論』を理論的支柱とし、演技・俳優論、喜劇論、悲劇論を検討し、主に②レッシングの喜劇と③ヴァイセの喜劇や児童演劇における作劇法と感情描写の特徴を比較する。ドイツ啓蒙時代後期を代表する二人の技法と影響関係を探る。④俳優によるレッシング劇や文学の舞台化の実際と、ヴァイセ作品がコッツェブーやシェーネマンらによって大衆演劇として広く受容されていたことを実証的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はヴァイセの青少年向け演劇における作劇法と少年少女像を検討し、日本演劇学会全国大会(於 多摩美術大学)で発表した。ヴァイセ青少年向け演劇では登場人物が成長して十代半ばになり、危機にある父を賢い娘や息子達が英知を合わせて助ける。親から見た理想的な少年少女が描写される。本論文は『ドイツ語文化圏研究』第19号に掲載された。 ヴァイセの児童演劇の作劇法とユートピア性について、2021年イタリアのパレルモ大学でzoom開催されたドイツ語学文学国際学会において口頭発表をしたが、論文"Dramentechnik und utopische Aufklaerung in den Kinderschauspielen Christian Felix Weisses"としてPeter Lang社よりIVG論文集に所収、刊行された。 啓蒙喜劇では変装や手紙という古典的手法が繰り返し見られる。変装と策略を使う作劇法をゴットシェート夫人と初期レッシングの喜劇で分析した。彼の『若い学者』『女嫌い』『ユダヤ人』では、混乱をもたらす手紙のトリック、女嫌いの父親を欺く変装の手法、罪をなすりつけるためにユダヤ人に変装する手法が見られる。本研究は2022年10月日本独文学会中国四国支部研究発表会(於 岡山大学)で発表した。 啓蒙後期のレッシング喜劇『ミンナ・フォン・バルンヘルム』やヴァイセ喜劇『アマーリア』や児童演劇に共通する、お金をめぐる友情の描写、策略の手法、通底する博愛精神について、J.フォーグルの「オイコディツェー」(神の見えざる手)理論を援用して分析し、第62回ドイツ文化ゼミナール(於 慶應義塾大学)にて、"Geldproblem, Intrigen und Philanthropie in Lessings und Weisses Komoedien der spaeten Aufklaerung" と題する口頭発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス・オミクロン株の蔓延が続き、国内外への出張が厳しく制限されたため、私は手元に集まった資料解析を研究室で行なった。 ヴァイセの代表的な青少年向け演劇の作劇法に関する研究に引き続き取り組み、その成果を2022年6月、日本演劇学会全国大会で口頭発表した。 ゴットシェート夫人と初期レッシングの喜劇における作劇法を、変装と策略の観点から比較分析した。1740年代のゴットシェート夫人の『身分違いの結婚』『遺言状』と初期レッシングの喜劇から『若い学者』『女嫌い』『ユダヤ人』を例に作劇法を比較した。30歳を過ぎた大人の女性ゴットシェート夫人は、モリエールやマリヴォーなどフランス喜劇の影響を控え目ながらも受けており、成り上がりの商人や貴族の世界を揶揄して描く。若いレッシングは、ゴットシェート派の影響を受けつつ、予想外の変装トリックと手紙による策略をしのばせて、イタリアとフランス喜劇の影響を大きく受けている。 後期のレッシングとヴァイセの喜劇における作劇法で、両者に共通するお金をめぐる友情と博愛精神の描写からは、啓蒙時代のユートピア的希望が読み取れる。指環のトリックと担保によるお金の立て替え、施しや人助けなどは、レッシングの『ミンナ・フォン・バルンヘルム』やヴァイセの『アマーリア』や『大金持ちの両親の良い子達』に共通する手法である。この研究は2023年3月、日本独文学会第62回ドイツ文化ゼミナールにおいて口頭発表した。また、レッシングの『若い学者』を翻訳した。 レッシングとヴァイセに共通する喜劇『エフェズスの老貴婦人』については研究途中である。コロナ禍による渡航制限のため、ドイツでの文献調査ができず、俳優の自伝書、演劇綱領、劇団の上演記録を参照できないままである。啓蒙喜劇の舞台化と俳優による演劇改革に関する研究は1年延長して行なうことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
①レッシングとヴァイセに共通する、同じ題目の喜劇『エフェズスの老貴婦人』やレッシング中期や後期の未完喜劇における作劇法を、手元にある文献を使ってさらに分析してみる。多作さを誇るヴァイセの創作姿勢と、書き直しと推敲を重ねたレッシングの作劇法を比較してみたい。 ②レッシング時代の劇作家と俳優の関係、俳優による舞台化の実情と喜劇作品の受容について、ドイツの演劇資料館、大学図書館を訪ねて現地調査を行なう。 ③今年度はこれまで翻訳してきたレッシング喜劇を出版化する。今回の研究のエッセンスを一冊の研究書にまとめたいと考えている。 ④学会の他、広島大学表現技術プロジェクト研究センターの講演会「文藝学校」で一般向けに研究成果を発表する。 上記のような方策により、研究をさらに推進し、成果を社会に還元したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(18 results)