日本再軍備をめぐる地域社会の葛藤-松本市の警察予備隊誘致をめぐって-
Project/Area Number |
20K00971
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
松下 孝昭 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10278806)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 警察予備隊 / 松本市 / 再軍備 / 演習地 / 日本の再軍備 |
Outline of Research at the Start |
1950年6月の朝鮮戦争の勃発によって警察予備隊が創設され、日本の再軍備が始まるが、そのことが日本の地域社会にどのような影響をもたらしたのかを研究する。具体的には、長野県松本市が警察予備隊の誘致に成功したものの、演習場や射撃場の確保をめぐって周辺町村と軋轢を増していく事例を研究対象とし、冷戦の激化という国際関係の激変が、日本の地域社会の内部にまで分断と葛藤をもたらしてしまう経緯を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1950年に創設された警察予備隊を、長野県松本市が地域振興の目的で誘致したものの、演習地の確保をめぐって県内の他の自治体と軋轢を重ねていく過程を追究し、日本再軍備が国内の地域社会の内奥にもたらした複雑な影響について解明することを目的とした。 当初の松本部隊は、荒地や高原などを演習地として借用していたが、いずれの地点でも拒絶され続けた。とはいえ、一部では道路整備の便宜のために部隊の演習を受け入れようとする地域もあった。また、演習に適した浅間山麓を擁する軽井沢町では、部隊への物資納入による経済効果に期待して、演習を受容しようとする動きも見せ、常駐部隊を誘致する思惑さえあった。 その後、防衛庁や松本部隊は、旧陸軍の演習地で戦後は開拓地となっていた有明原に狙いを定め、常設演習地とすることを画策する。開拓民の間では反対派と賛成派が生まれ、前者は社会党や労働組合等の革新勢力の支援を受けて反対運動を展開する。他方で賛成派は、松本市と結託して演習地化を実現させようとする。したがって、反対運動としては防衛当局などの国家機関のみならず、同県内での松本市の動きとも対峙する必要があった。結局のところ有明原の演習地化は、農林省の許可が得られずに実現しなかったが、警察予備隊の創設に始まる日本再軍備の過程は、それに反対する勢力のみならず、多様な思惑から部隊を受容して共存していこうとする動向も芽生えさせており、地域社会の中で両者の確執が続いたのである。 以上の成果は前年度のうちに論文として発表したので、最終年度は、北隣の新潟県高田市に立地した警察予備隊が、関山演習場の確保に成功する過程にまで考察対象を広げた。その結果、演習地化に成功した高田と失敗した松本との差は何に起因するのかという新たな問題意識が浮上し、これを次の研究課題として設定することができた。
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Report
(4 results)
Research Products
(2 results)