表出的刑罰論と応報刑論の関係に関する基礎理論的考察
Project/Area Number |
21K13206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Konan University (2022) Surugadai University (2021) |
Principal Investigator |
竹内 健互 甲南大学, 法学部, 准教授 (60731685)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 表出的刑罰論 / 功績原理 / 応報刑論 / 刑罰の表出的機能 / 刑罰目的 / 刑罰正統化論 / 刑罰の表出的・コミュニケーション的意味 / 非難 / 害悪の賦課 / 規範論 / 有罪宣告 / 言語行為論 / 刑罰のコミュニケーション的機能 / 峻厳な取扱い |
Outline of Research at the Start |
刑罰論は従来、応報刑論と目的刑論の対立軸の中で争われてきたが、近時、刑罰のコミュニケーション的意味に着目する「表出的刑罰論」というアプローチが主張されている。 そこで、本研究では、まず、 犯罪に対する非難や否認の表出を刑罰の本質と捉える表出的刑罰論において、害悪賦課としての「科刑」は必要か、非難表出の権限が「国家」に帰属する根拠は何か、刑罰の名宛人は誰かを解明することを通じて、表出的刑罰論のあり方と課題を詳らかにする。 また、表出的刑罰論では、功績概念を用いるなど、応報刑論との類似性が見られることから、両者の関係を明らかにし、表出的刑罰論が「第三の刑罰理論」たり得るかについて解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、表出的刑罰論と「応報刑論」との理論的関係性を詳らかにするため、応報的概念、とりわけ「各人を功績に基づいて相応しく扱うべし」という功績原理による刑罰正統化論を中心として批判的検討を行った。 表出的刑罰論では、犯罪行為に対する「相応しい」取扱い、有罪宣告や刑罰を受けるに「値する」という功績原理の観点により刑罰の正統化を試みる見解が展開され、そこでは、刑罰の表出的機能の応報関係的理解が示されている。しかし、功績原理それ自体には、刑罰が犯罪行為に対する「相応しい」取扱いであるとしても、なぜ国家が応報として刑罰を科すことが許されるのかという刑罰正統化論の核心をなす許容性の問いに対する答えが内在されていないとの結論を得た。 また、「非難」や「害悪賦課」による刑罰の表出的機能を重視する表出的刑罰論も、かかる表出的機能を予防的に構成する外在的表出主義と、応報的に構成する内在的表出主義に区別される。表出的刑罰論は、功績概念を中心とした応報刑論的アプローチのみならず、非難や害悪賦課によって実現されるべき望ましい事態を考慮する予防刑論的アプローチもあり得る。もっとも、応報や予防は、それなくしては実現し得ない事態を実現するということによって刑罰を根拠づけようとする論証構造の点では、どちらもある種の「帰結による制御」が問題となっており、その意味で、応報刑論的な表出的刑罰論では、表出的機能を「刑罰目的」として捉える余地があることが明らかとなった。 さらに、これに関連して、表出的刑罰論を刑罰正統化論の文脈に再定位し、それが制度としての刑罰の正統化を問題とするものか、個別行為としての行為者の処罰の正統化を問題とするものかという分析視角も得ることができた。 以上の研究成果の一部については、既に拙稿「表出的刑罰論における応報的契機と功績概念」甲南法学63巻3=4号(2023年)59-98頁に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、功績原理、応報刑との関係で表出的刑罰論や表出主義に関する主要な先行研究を収集・分析したうえで、表出的刑罰論は確かに応報刑論的理解が可能であるもののの、しかし必ずしも予防刑論的理解が予め排除されるわけではないことが明らかにされ、かつ直接関連する論文等を公表できたという点で研究に進展が見られた。とはいえ、依然としてコロナ禍の影響下でドイツにおける文献収集・調査等が実施できなかったことから、予定されていた検討作業を十分に達成することができなかった。以上の理由から、今年度は、当初の研究計画より「やや遅れている」と評価した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、刑罰制度としての正統化と具体的な処罰行為の正統化という刑罰の正統化の文脈に引き付けながら刑罰正統化論としての表出的刑罰論の意義と課題を明らかにする。近時、ドイツでは、刑罰論をめぐる議論が従前にもまして活発であり、重要なモノグラフィーや論文類が数多く公刊され、その中で表出的刑罰論に関する理論的検討や展開がなされていることから、ドイツにおいて学位論文を含む関係文献の収集等を実施し、表出的刑罰論をめぐる現下の状況を批判的に分析するとともに、近時、わが国で公表された刑罰論関係の文献等を整理整頓し、わが国での議論状況を踏まえて研究課題の総仕上げを行いたい。 また、上記方針との関係で、刑罰が具体的な犯罪行為、すなわち規範違反行為に対して科されるものであることから、表出的刑罰論を展開する論者の拠って立つ規範論も意識しながら引き続き表出的刑罰論と応報刑論の相互関係、また表出的刑罰論を下支えする背景理論や刑罰構想を浮き彫りにし、刑罰の根拠づけという刑法学上の難問の解明に向けて研究を進める予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)
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[Book] 刑法総論―理論と実践2022
Author(s)
小島 秀夫、田村 翔、柏﨑 早陽子、竹内 健互
Total Pages
270
Publisher
法律文化社
ISBN
9784589042194
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