Enhancement of hen and chick mucosal barrier function focused on oviductal microbiota.
Project/Area Number |
21K14960
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 42010:Animal production science-related
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新居 隆浩 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (90804873)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | ニワトリ / プロバイオティクス / 卵管 / 粘膜バリア / tight junction / 卵管細菌叢 / 母子免疫 / 産卵機能 |
Outline of Research at the Start |
本研究では母鶏への有用細菌の経口投与を利用した母鶏卵管粘膜と初生ヒナの腸粘膜のバリア機能強化を目指す。鳥類では腸管と卵管が総排泄腔に開口しているため、腸の細菌が総排泄腔を介して卵管粘膜に移行し、卵管粘膜バリア機能を強化する可能性がある。さらに有用細菌が卵管から卵内、そして初生ヒナの腸内に移行すれば、ヒナの腸管粘膜バリア機能の強化に繋がる。そこで、母鶏への有用細菌の経口投与が、①卵管粘膜のバリア機能を強化するか、②どのようなメカニズムで卵管粘膜バリア機能に作用するか、③ヒナの腸管粘膜バリア機能を強化するか検証する。本研究成果は経口投与による革新的な母子感染防御機能強化法の開発に寄与する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類の腸管と卵管は総排泄腔に開口しているため、経口で与えた有用細菌が腸から総排泄腔を介して卵管へ移動すると期待される。そこでR3年度は有用細菌の経口投与が産卵鶏の卵管粘膜のバリア機能に及ぼす影響を調べることを目的とした。 約 500 日齢の白色レグホン産卵鶏にPBSまたはLactobacillus johnsonii (C区および LJ 区)の生菌を14日間経口投与した。最終投与日の翌日に腸管 (回腸、盲腸) と卵管 (膨大部、子宮部、膣部) を採取した。腸管の内容物と卵管の粘膜スワブの細菌叢を解析した。粘膜サンプルは粘膜バリア関連因子の遺伝子発現量の解析と、HE染色による組織形態を画像解析に供した。その結果、腸管と卵管いずれも乳酸菌の投与によって細菌の多様性には大きな変化はなかったが、構成細菌の種類が変化した。タイト結合関連分子であるZO2とJAM2の遺伝子発現量は回腸の乳酸菌投与区で有意に増加した。一方で、卵管膣部において、抗菌ペプチドのAvBD10とタイト結合関連分子の claudin1の発現量は乳酸菌投与区で有意に増加した。粘膜の組織学的解析では、回腸では乳酸菌投与区で絨毛の発達が見られたが、盲腸および卵管では乳酸菌投与の影響は認められなかった。これらの結果から、L. johnsonii の経口投与は、腸だけでなく卵管の細菌叢も変化させることが明らかになった。さらに、乳酸菌の経口投与は腸管粘膜の ZO2 や JAM2 の遺伝子発現量を高め、腸管粘膜の機械的バリア機能を強化するだけでなく、卵管粘膜においても、AvBD10 と CLA1 の遺伝子発現量を高め、卵管の粘膜バリア機能を強化する可能性が示唆された。以上のことから、乳酸菌の経口投与は、腸管および卵管双方の感染防御機能の向上に寄与すると期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度には産卵鶏を用いた有用細菌の経口投与によって卵管粘膜のバリア機能を変化させるかを明らかにすることを目的としていた。その結果、経口での乳酸菌の投与が腸だけでなく卵管の細菌叢をも変化させることが示され、これは経口投与によってニワトリの卵管細菌叢の調節が可能であることを示唆する重要性の高い結果といえる。また、本研究では卵管粘膜のバリア機能に関する遺伝子発現の大幅な増加が認められ、期待以上の結果が得られた。金額の面から卵管粘液のメタボローム解析は実施できなかったが、代わりに卵管細菌叢と粘膜バリア関連因子の遺伝子発現との相関解析をすることで、卵管粘膜バリア機能強化に関与する可能性のある微生物が明らかになったため、これを足掛かりにR4年度の研究を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方向 R3年度の研究で、経口による乳酸菌の投与でニワトリの卵管粘膜のバリア機能が強化できる可能性が示された。また、卵管細菌叢の解析結果と、バリア機能関連因子との相関解析の結果から、卵管のバリア機能に関与する可能性のある微生物種が明らかになった。この微生物の一部は短鎖脂肪酸の産性能を持つものが含まれるほか、CorynebacteriumやHelicobacteraceaeといったグラム陽性および陰性の微生物の関与の可能性が示された。そこで、卵管粘膜の細菌による粘膜バリア機能強化のメカニズムを明らかにするために、ニワトリ卵管膣部の粘膜上皮の初代培養細胞を用いて、これに乳酸や酪酸といった短鎖脂肪酸や、グラム陽性菌と陰性菌の菌体構成成分で刺激をすることで、卵管粘膜バリアに関与する遺伝子やタンパク質の発現を解析する。これにより、卵管粘膜のバリア機能を強化した主要因を同定する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)