Project/Area Number |
21K15392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
高原 大志 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50790317)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 淡明細胞型腎細胞癌 / TGF-β / 腫瘍免疫 / 腎癌 / 免疫環境 |
Outline of Research at the Start |
PD-1/PD-L1経路を標的とした免疫チェックポイント阻害剤により、腫瘍免疫を活性化させることにより、一部の腎細胞癌は予後が顕著に改善することがわかってきたが、多くの症例は治療に反応せず、全体としてはいまだ進行期腎細胞癌は予後不良のままである。その原因として、我々はTGF-βのもつ免疫抑制機能に着目した。今回我々は、RNA in situ hybridization法によるTGF-β発現解析により、TGF-β発現とPD-1/PD-L1経路の関係、その他の臨床病理学因子の解析を行うことにより、進行期腎細胞癌に対するTGF-β阻害の可能性を探索することを研究の目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
TGFB1発現 が淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)の免疫微小環境に影響を及ぼすかどうかを調べるために、 158例の腫瘍組織と12例の正常組織に関する組織マイクアレイを作成し、TGFB1発現と臨床病理学的特徴との関連性を調査した。結果は下記のとおりである。 ⅰ)正常組織のTGFB1シグナルは細胞あたり0.1-1.7シグナル(中央値、0.51)の範囲であったのに対し、腫瘍組織のTGFB1シグナルは0.01~17.2(中央値、1.61)の範囲と、腫瘍組織において優位な上昇がみられた。ⅱ)WHO/ISUPグレードが高い腫瘍では、 TGFB1発現レベルが高かった(P<0.01)。ⅲ)TGFB1高発現群のccRCCと、低発現群との間で臨床病理学的比較を行ったところ、TGFB1高発現群はTGFB1低発現群よりも無再発生存期間が有意に短かった(P=0.025)。ⅳ)原発巣と、転移巣を比較すると、転移巣では優位にTGFB1発現が高かった(P=0.025)。ⅴ)腫瘍におけるTGFB1発現は、免疫環境におけるFOXP3陽性T細胞、CD138陽性形質細胞、PD-L1陽性細胞と正の相関を示した(それぞれP=0.045, 0.015, 0.02)。ⅵ)免疫環境におけるリンパ組織形成を示す症例は、TGFB1発現が有意に高かった(P= 0.01)。この研究は、mRNAのin situ hybridizationを用いてccRCC組織におけるTGFB1発現の臨床病理学的意義を報告した最初の研究である。 現在の進行期腎細胞癌の治療においては、PD-L1などを標的とした免疫チェックポイント療法が治療戦略の主体となっているが、今回我々の研究により、腫瘍のTGFB1発現が腫瘍の免疫環境と強い関連があることが示された。我々の研究データはTGF-βを標的とした新たな治療戦略の開発を促進する可能性がある。
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