研究領域 | マイクロ波高温非平衡加熱の研究総括 |
研究課題/領域番号 |
18070006
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 元泰 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (60115855)
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研究分担者 |
田中 基彦 中部大学, 全学共通教室, 教授 (80167501)
永田 和宏 東京藝術大学, 大学院, 教授 (70114882)
ルスキン ドミトリ (ルズキン ドミトリ) 東北大学, WPI, 教授 (60302212)
吉川 昇 東北大学, 大学院・環境科学科, 准教授 (70166924)
西 信之 (西 伸之) 分子科学研究所, 教授 (60013538)
萩行 正憲 (秋行 正憲) 大阪大学, レーザーエネルギー研究センター, 教授 (10144429)
三宅 正司 大阪大学, 接合科学研究所, 名誉教授 (40029286)
大峰 巌 (大峯 巌) 分子科学研究所, 所長 (60146719)
辻 正治 九州大学, 先導物質科学研究所, 教授 (30038608)
本島 修 核融合科学研究所, 所長 (60109056)
行本 正雄 中部大学, 工学部, 教授 (30434567)
長山 好夫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (10126138)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
32,300千円 (直接経費: 32,300千円)
2011年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2010年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2009年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2008年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2007年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2006年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 低エネルギーフォトン / エネルギー経路 / 非平衡加熱 / 非アレニウス藩王 / 活性化エネルギーの付与 / 高次構造破壊 / 反応速度 / マイクロ波反応場 / 非平衡物性 / 非平衡熱力学 / ナノ構造 / アレニウスの式 / マイクロ波化学 / 金属酸化物電磁波還元 / マイクロ波工学応用 / マイクロ波選択吸収 / マイクロ波励起超音波 / 構造相転移 / マイクロ波工学 / マイクロ波加熱 / 加熱機構 / ナノマテリアル / 非平衡 |
研究概要 |
本研究領域では、強いマイクロ波の電磁界が物質中の電子に、(一)熱という乱雑系(二)集団的電子の運動という仕事(三)化学ポテンシャルの付与および微構造形成に配分されることを明らかにした。(一)はよく知られているように、マイクロ波加熱であり、熱源の置き換えと理解されてきた。特徴的に認められるのは(二)および(三)であるが、この現象は、熱力学的に非平衡を仮定しない限り作り出せないものである。この現象を惹起しているのは、(二)の仕事であり、「仕事がどのようにして作り出されてくるのか?」。電磁波と物質の相互作用、言い換えれば分散関係を基礎に於いて、マイクロ波というコヒーレントな長い波長の電磁波が、媒質との相互作用によってどのように変質し、化学的ポテンシャル、結晶相転移、熱振動に分配されていくかを、多岐にわたる実験によって検証してきたのである。平成23年度には、これらの実験事実を集約し、(1)化学ポテンシャルの付与・(見かけの)活性化エネルギーの低下、(2)微構造における高次構造破壊、(3)マイクロ波磁界に照射によるボルツマン分布とは異なる紫外線域の発光を、特徴的に見い出したのである。このような、可視光領域より3~5桁低いフォトンエネルギーの電磁波による数eV以上の電子励起という挙動は,新しい波動物性物理を展開させる十分高いポテンシャルを持つだけでなく,物質の状態として「固体の非晶質状態・液体のクラスター構造」を新たに定義すべきことを示している。これらの研究を基礎として、熱に代わる新しいエネルギー源として、マイクロ波帯の電磁波の高度利用による工学的研究を強力に推進してきたである。その成果として、工業規模におけるマイクロ波による錆びない超高純度鉄の生成、環境処理技術が生み出され、産業界の注目を集めている。23年度は、この成果を積極的に公表してきたのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
化学ポテンシャルの付与・(見かけの)活性化エネルギーの低下、微構造における高次構造破壊、についての発見は、平成22年度までに見いだされてきたものであるが、この現象が本当に物性学上の非平衡によってもたらされているという論理的な必要十分条件の検証は未完であった。研究領域で得られたデータ、発表した論文を詳細に検討してゆく過程で、マイクロ波磁界に照射によるボルツマン分布とは異なる紫外線域の発光を確認し、本特定領域で整備した2次元分光器を使った追試に実験により事実を確認した。この結果、強いコヒーレントなマイクロ波電磁界は、物性学上の非平衡をもたらすことを証明する必要十分条件が得られたのである。この成果は、Physical Rev.Lettersに、投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
本特定領域は終了したが、その成果を元にして特定非営利活動法人「日本電磁波エネルギー応用学会」が発足し、学術的研究が深められていると共に、多数の企業に於いて、新しいエネルギー利用としてマイクロ波エネルギーの応用研究開発が進められている。
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