研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
18H05535
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
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研究分担者 |
清水 格 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (10400227)
佐藤 修 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任講師 (20377964)
日下 暁人 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20785703)
石塚 正基 東京理科大学, 理工学部物理学科, 教授 (40533196)
石原 安野 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (40568929)
津村 浩二 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40648101)
伊藤 好孝 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (50272521)
市川 温子 東北大学, 理学研究科, 教授 (50353371)
伊部 昌宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (50599008)
早戸 良成 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (60321535)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
32,500千円 (直接経費: 25,000千円、間接経費: 7,500千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2018年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | ニュートリノ / 素粒子 / 宇宙 / 反粒子 |
研究実績の概要 |
新学術領域「ニュートリノで拓く素粒子と宇宙」では、宇宙の初期から現在に至るまでの物理過程を統一的に理解するために、物理学の革新となる「新しい素粒子、宇宙像」の創造を目指している。そのために、TeVのエネルギースケールを大きく超える新物理を探ることが不可避であり、この未知の領域に踏み込む研究として「ニュートリノ」を軸とした [素粒子+宇宙]×[理論+実験] の多角的なアプローチを進めている。計画研究A班では、スーパーカミオカンデにGdを溶解することで中性子捕獲率を向上させニュートリノと反ニュートリノ識別能力の向上、T2K実験で複数リングを持つ事象サンプル解析による統計精度の改善、IcuCube実験による新物理「磁気モノポール」の探索等、本領域の基盤となる研究が進展した。また、CMB観測実験では、COVID-19の影響で望遠鏡建設に遅れが出ているものの、既存のPOLARBEAR望遠鏡のデータを使ったCMB B-mode偏極の測定が進んだ。計画研究B班では、高圧Xe-TPC検出器180Lプロトタイプを使った実証実験が行われたことと、エマルジョンの大量生産が進んでいる。計画研究C班は、理論によって本領域の実験観測結果をつなぐ重要な成果を多数発表した。その重要な成果が出た研究例としては、ミューオン加速器実験の創案、レプトジェネシスとミューオンg-2を繋ぐ模型、GUTとつながる暗黒物質模型、IceCube実験によるステライルニュートリノへの制限等がある。 2022年3月に領域研究会を対面+オンラインのハイブリッド形式で開き、研究成果を広く発信すると共に、今年度の領域内の活動を総括した。また、公募研究との関係を強化するために、2021年9月から12月にかけて計4回、公募研究セミナーを実施した。領域の宣伝用のパンフレットをアップデートし、一般に向けても積極的に情報を発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大のために、海外渡航が厳しく制限されていたが、感染状況を注意深く観察しながら、対面における国内での研究会を実施した。また、オンラインツールを活用して領域外の研究者も巻き込んで、領域の活動を進めた。
(1)(コロナウィルスの影響を含め)国内外の研究動向を調査し、領域全体として研究方針を策定した。2022年3月に領域研究会を千葉で開催し、その際に総括班の対面会議も実施して、研究計画班の進展状況の評価を行なった。(2) 新しい試みとして公募研究セミナーを実施た。公募研究との連携を強化し、双方の研究内容の理解を深めた。(3)多様な研究会を企画・共催し、各計画研究の進化を図った。その一例は、2021年11月に開かれた「KASHIWA DARK MATTER SYMPOSIUM 2021」や2021年7月のNINJA実験mini-workshopがある。 (4) オンラインの利便性を活用し、多くの国際会議に出席し国際的な研究の動向を調査した。複数の重要な国際会議で領域メンバーが研究成果を発表し、世界のニュートリノ研究を主導するよう努めた。(5)研究会、ホームページなどで国内外に向け、最新の研究成果を発信している。 学生とポスドクが主体となり、領域研究会の運営の一翼を担った。2021年7月に若手研究会「ニュートリノで拓く素粒子と宇宙」を開き、若手の間の議論が活性化した。学生同士での大学間の研究交流を促し、若手研究者の意識が高まった。 (6) 社会・国民へのアウトリーチに関しては、大学や研究機関の広報と協力して、広く情報発信に努めた。また、宣伝用の4コマ漫画のコンテンツを更新した。(7)「素粒子・宇宙」の研究分野は、中高生にとって夢のある研究として関心が高い。中高生を含めた一般向け講演やオンライン見学会を開催した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染開始から2年目となり、活動制限はあるもののコロナと共存する新しい生活様式が始まっている。今後はこの流れが加速し、これまで得た経験を生かし、「with コロナ」で研究活動が活性していくと考えている。ただし、海外との往来は依然として敷居は高いが、本研究領域の中心が国際共同研究であり、国際的な繋がりを強化していく予定である。 (1)【領域の研究目標の策定と評価】 国際的な研究動向を念入りに調査し、領域の研究目標を確認する。研究計画班の進捗状況を評価し、必要があればサポートする。(2)【公募研究との連携】2021年度から始めた公募研究セミナーを継続し、双方の研究内容の理解を深め、公募研究との連携を強化する。 (3)【研究計画班の連携】 総括班主導で、情報を共有するための企画(研究会、Web発信)を通し、研究計画班間の連携を強化・維持する。(4)【国際的主導力の発揮】国際的な研究の動向を常に調査し、世界のニュートリノ研究を主導していく。(5)【研究成果発表の促進と若手研究者の支援・育成】海外の国際会議に積極的に参加して、研究成果を発表する。2022年度はニュートリノ分野での主要会議NEUTRINO2022が韓国主催で、オンラインで開催される。そこで、最新の研究成果を発信すると共に、若手がポスター発表を行う。(6)【研究成果の社会・国民への発信】 社会・国民へのアウトリーチに関しては、各大学・研究機関の広報室と協力して、広く情報を発信する。WEB、メディアを活用し、最先端の研究成果とその目標を社会・国民に発信していく。平易に説明できる4コマ漫画のWEBコンテンツを充実させ、研究の面白さを伝えていく。(7)【若者への科学教育】 若者への科学教育は、科学の裾野を広げ、日本の理科教育の根幹を支える。若者向けの講演会や高校等での出前講義を行う。
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