研究領域 | 蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学 |
研究課題/領域番号 |
19H05816
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藪内 直明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80529488)
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研究分担者 |
林 晃敏 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10364027)
大久保 將史 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20453673)
菅 大介 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40378881)
喜多條 鮎子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50446861)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
205,920千円 (直接経費: 158,400千円、間接経費: 47,520千円)
2023年度: 42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2022年度: 42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2021年度: 41,080千円 (直接経費: 31,600千円、間接経費: 9,480千円)
2020年度: 40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
2019年度: 39,000千円 (直接経費: 30,000千円、間接経費: 9,000千円)
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キーワード | 蓄電池 / 固体化学 / 蓄電固体界面 / 蓄電固体 / イオン伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
蓄電固体界面材料の研究を通して、各種の電極材料・電解質の固体界面構造の制御手法を確立し、蓄電固体材料における界面の役割を解明する。また、電極・電解質材料の複合化も進めることでナノ界面構造に立脚した蓄電固体界面の新機能の発現を実現する。さらに、これらの研究から得られた知見を拡張し、蓄電池以外の分野として固体キャパシタや固体アクチュエータなど、各種の蓄電固体デバイスへの応用を進める。これらの研究を通して蓄電固体材料の高機能化に加えて、各種の新蓄電固体デバイスの創製の実現への道筋をつける。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、本年度は蓄電固体界面材料の研究を通して、各種の電極材料・電解質の固体界面構造の制御手法を確立し、蓄電固体材料における各種の界面構造の役割の解明、また、得られた知見に基づきさらに高度に制御した電極・電解質材料の複合化も進め、ナノ界面構造に立脚した蓄電固体界面の新機能の発現を実現することを目的として研究活動を行った。 本年度は昨年度までの検討をもとにさらに、A04班内における研究者の相互理解と研究協力体制の構築を進めた。また、具体的な研究成果としても、従来の蓄電池材料のエネルギー密度を低減させることなく、体積変化を抑制するナノ構造を制御したバナジウム系材料の創製、さらに、ナトリウムイオンを超高速輸送する固体電解質やナトリウム硫黄電池への応用、また、ヒステリシスの小さなアニオンレドックス材料の発見など、蓄電材料の進化に繋がる成果が引き続き得られている。また、公募班においても新しい原理に基づいた電荷以降錯体系イオン伝導体の材料の発見や、二重層を利用した磁性を制御可能なデバイスといった新しい多くの研究成果が得られており、今後、他グループとの共同研究がさらに進展することで、これまでは原理の理解が不十分であった各種の蓄電固体材料に関して、より詳細な学術的な解明につながることが期待できる。これらの研究は蓄電材料のざらなる進展と高機能化に加えて、今後の各種の新蓄電固体デバイスの創製の実現への道筋に繋げることを目指して引き続き研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
蓄電固体材料は構造中の遷移金属イオンが酸化・還元し、その電荷補償の結果、構造中のイオンの濃度を任意に変化させることができる。一般に、固体中に高次元のイオン (+電子・ホール) 拡散経路を有し、固体中の界面 (粒界) 濃度が低い物質において、優れたイオン輸送特性が得られるとされていた。しかし、本年度は昨年度に引き続き従来の優れた学術成果を残しており、高インパクトファクターの学術論文誌において論文の公表、及び、プレスリリースを行っている。このような、異なる界面構造を有する様々な固体材料において、イオン・電子輸送特性が全く異なるという現象論的な事実は、固体中の界面構造の重要性を明確に示すものであり、従来の想定以上に新しい研究成果が得られている。一方、このような界面構造の特性因子に関する理解は不十分であるところも残っていることから、今後、さらに学術的な理論の確立を目指し、A02とA03班と連携しながら詳細な研究をグループとして一丸となって進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では界面濃度が非常に高い、準安定相材料を研究の対象の一つとしており、研究の特徴の一つであるといえる。これら準安定相ではポスト焼結プロセス(メカニカルミリング後の熱処理)における焼成温度と焼成時間などの条件制御により、核生成頻度と核成長速度を速度論的に制御し、通常の合成では得ることができない特異的なナノ界面構造を有する酸化物を合成することが可能であり、実際、このような手法により界面濃度の制御することで様々な材料を合成してきた。次年度以降はこれらの手法に加え、準安定相材料の合成を基盤として、さらに、メカニカルミリング以外の手法の探索も進める。また、液相プロセスによる高密度界面の形成、例えば、液相エッチングによるトップダウン式の界面形成や、液相結晶成長によるボトムアップ式の界面形成など、様々なスケールでの界面形成制御技術を確立し、得られた界面における特異的な電子・イオン輸送特性の発現を狙う。また、A04班では電極材料、電解質材料を含めて研究対象としているが、さらに、今後はこれら電極材料と電解質材料の複合化も含めて検討を進める。これらの高度界面制御技術を進化させることにより、高容量でありながら体積変化が少ないといった従来材料では想定していなかった新材料も誕生しつつある。今後、得られた知見をさらに、従来の材料との比較を通して、蓄電材料において重要な因子解明とさらなる新材料創製につながることも期待できる。
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