研究領域 | 時間タンパク質学:時を生み出すタンパク質特性 |
研究課題/領域番号 |
21H05132
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 福井県立大学 (2023) 分子科学研究所 (2021-2022) |
研究代表者 |
向山 厚 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (80647446)
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研究分担者 |
八木田 和弘 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90324920)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 概日時計 / 時計タンパク質 / KaiC / 周波数特性 / KaiCホモログ / ATPase |
研究開始時の研究の概要 |
生物は地球の自転による周期的な環境変化に適応するべく、概日時計を用いて生命活動を24時間周期でリズミックに調節している。概日時計のモデル生物であるシアノバクテリアにおいては、唯一種のタンパク質(KaiC)に1回/日の周波数特性がエンコードされており、その特性が多重の階層を貫くように伝播されることで、細胞レベルのリズムの周波数や温度補償性が決定される。本研究では、これまでに蓄積されたKaiCの分子特性に関する知見をもとに、未だ周波数特性がエンコードされた計時因子の実体が掴めていない真核生物における『機能的KaiCホモログ』の探索技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は概日時計の持つ最も単純な生物の一つであるシアノバクテリアにおいて、24時間に相当する周波数特性を備えた時計タンパク質KaiCの理解、およびそこから得られた知見に基づいて哺乳類における機能的KaiCホモログを探索するための要素技術の開発である。 本年度は、研究代表者(向山)はKaiCのリズミックな構造変化を高感度に検出するためのトリプトファン(Trp)蛍光プローブ挿入部位を探索した。その結果、サイクル中にリン酸基の脱着を繰り返す部位近傍にTrpを挿入したKaiC変異体ではリズムの安定性や周期長を保ちつつ、Trp蛍光を指標としたリズムの振幅が10倍以上増加することを見出した(Mukaiyama et al., Biochem. J. 2022)。 研究分担者(八木田)は哺乳類(マウス)のES細胞を用い、周波数特性の表出の背後にある物質的基盤の解明に取り組んだ。ES細胞の分化誘導に伴う概日時計のリズム発振成立過程に焦点を当て、概日時計振動の形成前後での時計タンパク質複合体の詳細な解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンパク質に内在するTrp蛍光を指標としたリズム計測法を、従来に比べ10倍強の高感度化に成功し、学術論文として出版することができた。本成果はこれまで見落とされていた変異体にまで解析対象の幅を広げることにつながり、KaiCに潜む周波数特性の実体解明の足がかりとなる技術といえる。一方、機能的KaiCホモログをピックアップする方法論はいまだ開発途上であり、哺乳類系への展開にまで至っていない。これらを総合的に勘案して判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、KaiCの配列および酵素特性を指標として機能的KaiCホモログを探索する技術の整備を進める(向山)。また、概日振動の形成プロセスにおける時計タンパク質複合体の動態に関与する因子を体系的に探索し、取得した候補因子の時間特性解析に取り組む(八木田)。これらのアプローチにより、哺乳類における周波数特性の表出の背後にある物質的基盤の解明を目指す。
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