研究領域 | 死の脳内表象:「死」はどのように認識されるのか? |
研究課題/領域番号 |
21H05140
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
奥山 輝大 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (80625955)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2023年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2022年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2021年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
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キーワード | 社会性行動 / 死認識 / アニマシー知覚 / 行動神経科学 / 神経生理学 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含めた多くの動物にとって、他者の「死」の認識は自分自身の生存に直結する、極めて根源的な脳機能である。本学術変革研究は、死の認識を司る脳神経メカニズムを解明するため、脳の中のどこかに存在する「死の認識ニューロン」を見つけることを研究目標とする。また、死と生の認識は必ずどちらかのみであり、両立しえない点に着目し、「生」の認識の中心的役割を担うことが報告されてきたオキシトシンニューロンと、「死」の認識ニューロンとの間で、どのようなメカニズムでお互いの機能を抑え合っているのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
マウスの「死」の認識を定量し、今後の神経活動操作・活動観察実験を行うための素地として、死体マウスや麻酔されたマウスなど、状態の異なる他マウス個体に対する接近度を定量する新規行動実験系を組み立てた(死体行動アッセイ)。その結果、マウスも他者を視覚や嗅覚といった感覚器で知覚した結果、生物体とオブジェクトとを区別している事が示唆された。さらに、この死体行動アッセイ中に、特定の嗅覚入力を特異的に欠損させたところ、「死」をマウスがどのように検出しているのかが明らかになった。今後、死」と「生」の認識の相反性を規定する神経回路接続・神経修飾が明らかになることが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
私たちヒトは、他者の「死」を認識し、死者に対して埋葬などの儀礼を行う。動物界全体へと目を向けると、ゴリラ・チンパンジーのような霊長類から昆虫まで多くの動物が、同種他個体の死者に対する種特異的な多様な行動を示す事が、行動学研究によって記載されてきた。多くの場合、「死体」とは自らにとっての危険の象徴であり、逃走・警戒・忌避といった強い負の情動の発現を伴う。従って、「死」の認識はどの動物にとっても自身の生存に直結する、極めて根源的な脳機能であるにも関わらず、これまでその中枢神経基盤はほとんど不明だった。本研究成果により、これまで未知であった「死」の認識の神経メカニズムの一端が明らかになった。
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