研究領域 | ポストリソソーム生物学:分解の場から始まる高次生命現象の理解 |
研究課題/領域番号 |
21H05148
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研究種目 |
学術変革領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 耕太 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教(常勤) (10867279)
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研究期間 (年度) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
30,030千円 (直接経費: 23,100千円、間接経費: 6,930千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2021年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | ポストリソソーム / 腸内細菌叢 / 老化 / ターコイズキリフィッシュ |
研究開始時の研究の概要 |
近年、生体の外的要因と内的要因を繋ぐ「腸内細菌叢」が老化と密接な関係にあることがわかりつつある。しかし、腸内細菌叢と個体老化を繋ぐ分子機構の実体はほとんどわかっていない。本研究は、腸内細菌叢と老化を繋ぎうる機構として、近年見出された「分解を起点とする恒常性維持シグナル」である「ポストリソソームシグナル」に着目する。さらに本研究は、新たな老化モデル脊椎動物として注目される超短命魚ターコイズキリフィッシュを用いることで、脊椎動物の老化制御における腸内細菌叢とポストリソソームシグナルのクロストークを解明する。これにより、脊椎動物個体老化におけるポストリソソームシグナルの新規機能解明を目指す。
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研究実績の概要 |
超短命魚ターコイズキリフィッシュを用い、ポストリソソームシグナルという新規着眼点から脊椎動物における個体老化制御の分子機構を解明するため、以下の解析を行った。 1. 線虫においてリソソームシグナルを活性化することが知られるリソソーマルリパーゼに着目し、これを全身で過剰発現するターコイズキリフィッシュの遺伝子改変系統を樹立した。リパーゼ過剰発現系統では、体内の中性脂肪の蓄積減少が確認できた。さらに領域内共同研究により肝臓を用いたノンターゲットリピドミクスを行った結果、リパーゼ過剰発現系統では、リパーゼの基質となる脂質分子種が減少することもわかった。加えて、寿命が異なるターコイズキリフィッシュの同種内系統の比較リピドミクス解析を実施し、リパーゼ過剰発現系統と長命系統で共通して存在量が多い脂質分子種を老化抑制分子の候補としてとらえた。また、線虫においてリソソームシグナルを活性化する重要な要因である生殖細胞除去をターコイズキリフィッシュに対して行った結果、オス特異的に健康寿命が改善したことから、脊椎動物にも生殖細胞と個体老化をつなぐ機構が確かに存在することが示された。 2. ターコイズキリフィッシュの短命系統と長命系統のゲノム比較解析から見出した、スフィンゴ脂質代謝酵素の変異に着目し、昨年度までに遺伝子機能改変系統を作出した。組織解析や行動解析から、遺伝子機能改変系統において実際に老化が抑制されることが明らかとなった。また、昨年度実施した遺伝子機能改変系統と野生型の腸内細菌叢解析に加えて、本年度は短命系統と長命系統の腸内細菌解析を行った。その結果、遺伝子機能改変系統と長命系統で共通する腸内細菌叢の変化を捉えた。以上から、着目する代謝酵素の機能変化が、寿命が異なる系統間の老化速度および腸内細菌叢を制御する要因の一つであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リソソームリパーゼ過剰発現系統を樹立し、組織解析および、質量分析による脂質代謝解析からリパーゼの活性化を確認できた。さらに、寿命が異なる系統間の比較脂質解析を組み合わせることで、老化速度制御に関与する候補因子も見いだしつつある。また、スフィンゴ脂質代謝酵素に着目した解析においても、リソソームシグナルとの直接の関与は確認できていないものの、老化速度制御および腸内細菌制御における機能を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
リパーゼ過剰発現が個体老化に及ぼす影響を明らかにするために、樹立した系統を用いた老化形質解析、寿命解析を行う。また、生殖細胞と個体老化をつなぐメカニズムとして、現在着目するステロイドホルモンの関与を検証する。スフィンゴ脂質代謝酵素の機能改変系統については、老化抑制効果や腸内細菌叢制御を司る分子実体および、リソソームの関与を明らかにするため、特に腸のスフィンゴ脂質関連物質に着目した代謝解析を実施する。
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