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根圏微生物との超個体化が覚醒させる植物の貧栄養適応機構

計画研究

研究領域植物と微生物の共創による超個体の覚醒
研究課題/領域番号 21H05150
研究種目

学術変革領域研究(B)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関東京大学

研究代表者

晝間 敬  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20714504)

研究分担者 大森 良弘  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20398390)
田畑 亮  名古屋大学, 生命農学研究科, 特任講師 (30712294)
研究期間 (年度) 2021-08-23 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2022年度)
配分額 *注記
49,400千円 (直接経費: 38,000千円、間接経費: 11,400千円)
2023年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2022年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2021年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
キーワード超個体 / 根圏微生物 / 植物栄養 / 器官間コミュニケーション / トレードオフ突破 / トレードオフ打破 / シロイヌナズナ / 内生菌 / 病原菌 / 超個体化
研究開始時の研究の概要

植物は葉圏・根圏に内包される多様な微生物と相互作用しており、それらの微生物と協働することにより、様々なストレス環境へと適応している。 本研究は、植物と糸状菌・細菌から構成される根圏微生物集団との間の協働(共生)を促すことにより植物の貧栄養環境適応能を飛躍的に向上させることを目指す。同時に、根圏微生物集団の根感染が植物の個体生長を促す分子基盤を根と地上部間での器官間コミュニケーションに着目することで明らかにする。

研究実績の概要

本年度は、リン欠乏や窒素欠乏条件で植物生長を効率よく促すCt-細菌群の構築に向けて、植物が利用可能なリンかつ窒素が欠乏した土壌でアブラナ科植物などの植物種と共生する糸状菌・細菌群の網羅的な単離を行った。表面殺菌した植物種の組織から出現した1200株の糸状菌、440株の細菌を単離保存するとともに、その属名をそれぞれサンガーシークエンス法を用いて決定した。次に、アブラナ科植物を含む異なる植物で広く共通して同定された微生物にまず着目して、貧栄養条件下でのシロイヌナズナに対する接種試験を行ったところ、リンが枯渇した環境下で植物生長を促す有用菌を複数種得ることが出来た。さらには、リン栄養条件依存的に病原性を発揮する糸状菌および細菌も同定した。
続けて、すでに窒素枯渇条件下で植物生長を協調的に促すことを代表者が見いだしたCtと有用細菌群の集団による植物生長促進機構を理解する目的で、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、Ctによる植物生長促進効果が発揮される際に誘導されるシロイヌナズナの遺伝子応答パターンがリン欠乏と窒素欠乏の環境間で大きく異なることを見いだした。さらに、Ctと細菌群を共接種した区ではそれぞれの単独接種と比較して植物の遺伝子応答パターンがさらに変化することを見いだした。
最後に、本研究で局所応答と全体応答を区別する目的で導入を試みているSplit-rootシステム(Tabata et al., Science 2014)を本微生物実験系に当てはめるための予備的実験を行った。予備実験の中で、リン欠乏時におけるCt共生時に特異的に誘導されるリン酸トランスポーター植物遺伝子がCtを接種していない側の根でも誘導されることを見いだした。植物は共生時に菌と直接相互作用する根だけでなく、離れた根にもシグナルを送りリン酸トランスポーター遺伝子を誘導していることが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

予定した以上の糸状菌と細菌の単離保存が完了するだけでなく、その属名もしくは種名もサンガーシークエンス法にて同定できた。また、今後の研究に視する有用微生物を同定することができた。行ったトランスクリプトーム解析についても、実験がうまくいったことを示す結果を取得することができた。Split-rootシステムの実験系からも、これまで予想していなかった知見がこれから生まれることを示唆する予備的結果を取得できた。

今後の研究の推進方策

リン欠乏や窒素欠乏条件で植物生長を効率よく促すCt-細菌群の構築を目指すと共に個々のユニークな植物生長促進効果を示す微生物の解析(感染様式調査・ゲノム解析・トランスクリプトーム解析などのオミックス解析)を進めていく。すでに取得しているトランスクリプトームデータからCtー細菌群による植物生長促進に必要な植物・Ct遺伝子候補を絞り込むと共に、細菌の感染中の遺伝子発現変動パターンの取得もすでに有しているゲノム情報をベースに挑戦する。

報告書

(1件)
  • 2021 実績報告書

研究成果

(7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Genome Resource of <i>Colletotrichum spaethianum</i>, the Causal Agent of Leaf Anthracnose in <i>Polygonatum falcatum</i>2022

    • 著者名/発表者名
      Utami Yuniar Devi、Hiruma Kei
    • 雑誌名

      PhytoFrontiers

      巻: -

    • DOI

      10.1094/phytofr-12-21-0082-a

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] リン欠乏土壌に自生するアブラナ科植物から単離されたColletotrichum属菌によるシロイヌナズナの生長促進作用2022

    • 著者名/発表者名
      岩附利英、橋本将、Yuniar Devi Utami, 田中健太、晝間敬
    • 学会等名
      日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 寄生型のColletotrichum tofieldiaeは高温条件ではシロイヌナズナの植物生長を促す2022

    • 著者名/発表者名
      晝間敬
    • 学会等名
      日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Activation of fungal ABA biosynthetic cluster genes switches a beneficial plant fungus to a pathogen2021

    • 著者名/発表者名
      Kei Hiruma
    • 学会等名
      IPSR International Plant Web Forum 2021
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] メタオミクス解析を活用した植物有用微生物の単離同定2022

    • 著者名/発表者名
      Yuniar Devi Utami, 晝間敬
    • 総ページ数
      500
    • 出版者
      株式会社エヌ・ティー・エス
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [備考] 晝間研究室ホームページ

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hiruma/

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [備考] 植物超個体の覚醒

    • URL

      https://www.kakusei-plant.com

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2021-10-22   更新日: 2023-04-13  

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