研究概要 |
欧米では構造物の設計は限界状態設計法に移っている.日本の土木構造物については,コンクリ-ト構造は限界状態設計法が実施されたが,鋼構造は旧来の許容応力度設計法によっている.鋼構造物の限界状態設計法策定のための実験的および理論的準備も進んでいる状況を踏まえて,本研究は,鋼構造のうちプレ-トガ-ダ-とボックスガ-ダ-の限界状態設計法の基礎となる終局強度算定法の確立を目指した. 薄板構造の構成要素(板パネルや補剛板)の終局強度は,弾性座屈強度をパラメ-タとして,弾塑性有限変位解析や終局強度実験の結果に基づいて算定する方式を取った. プレ-トガ-ダ-が対称断面であっても非対称断面であっても,腹板が垂直補剛または水平・垂直補剛されていても適用できるプレ-トガ-ダ-の終局強度算定法を提案した.実験的裏付けがなされていない非対称断面プレ-トガ-ダ-の曲げ・せん断強度を解明するため,耐荷力実験を実施した.また,従来から不明確であったプレ-トガ-ダ-の曲げ強度とフランジ垂直座屈現像との関連を理論的・実験的に明確にすることができた. ボックスガ-ダ-に関しては,まず,圧縮や曲げやせん断が組み合わさった場合の補剛板の終局強度算定法を提案した.そして,ボックスガ-ダ-が曲げ/曲げ・せん断/曲げ・せん断・ねじりを受ける場合の強度算定法を提案した.さらに実験的裏付けのない非対称ボックスガ-ダ-模型に対する耐荷力実験を行って,算定法の妥当性を検証した.
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