研究概要 |
酸化チタンなどの半導体は,光エネルギ-によって励起され,通常の条件下では起らない酸化・還元反応を触媒する。本研究では,光化学反応を組み込んだバイオリアクタ-システムの確立を目的として種々検討を行い,以下の結果を得た。 1.酸化・還元酵素の代表的補酵素であるNADに着目し,TiO_2による酸化・還元反応と酵素反応を組み合わせたシステムを構成し,TiO_2粒子上に酵素(アルコ-ルデヒドロゲナ-ゼ)を固定化することにより,NADの再生を伴うサイクリックな反応システムを構成できた。 2.NADHの酸化に関して光照射を伴う空気気泡ーTiO_2ー水溶液の気・液・固系において,角型懸濁気泡塔,二重円管反応器においてNADHの酸化速度に及ぼす光強度,TiO_2濃度,粒子径の効果を明らかにし,有効吸収係数の概念によって光強度分布を解析した。 3.半導体光触媒としてTiO_2とPt担持したTiO_2を用い,有胞子細菌としてBacillus属のB.stearothermophilus,B.subtilis,B.licheniformis,B.pumilusのsporeに対して高圧水銀灯照射下での殺菌動力学を調べた。 光波長として306nm以上の中長波長下では半導体光触媒による殺菌作用は大きく,光強度,菌体数,酸化チタン濃度と死滅速度との関係を明らかにした。半導体光殺菌システムと培養槽を組み合せる効率的な殺菌反応塔として二重円管型反応器の適用が最良であると認められた。
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