研究課題/領域番号 |
01480124
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 智幸 京都大学, 医学部, 講師 (40092415)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1989年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | 運動ニュ-ロン / スライス / IPSC / パッチクランプ / 脊髄 / バッチクランプ / 抑制性シナプス電流 / 量子仮説 / whole-cell記録 / 素量解析 / 二項分布 |
研究概要 |
パッチクランプ電極によるwholeーcell記録法を用いて、新生ラット脊髄運動ニュ-ロンから抑制性シナプス電流(IPSC)を記録した。IPSCは、運動ニュ-ロン近傍の介在ニュ-ロンを細胞外電極により刺激することにより誘発した。刺激のア-チファクトからIPSCの立ち上がりまでの潜時は、0.2ー50Hzの刺激頻度に対して、ほぼ一定値をとった。IPSCの潜時は、37Cでは0.6ー0.8msecであり、単シナプス性IPSCの性質を示した。細胞外Ca濃度を減少させると、IPSCのfailureが増加し、IPSCの平均振幅が減少した。Ca濃度とIPSCの平均振幅とは、両対数目盛りにおいて、直線関係を示し、平均傾斜は3.1であった(0.35ー1.4mMのCa濃度範囲)。Ca濃度を減少させるとIPSCの振幅は減少したが、0.7mM以下のCa濃度で観察されるIPSCの振幅(failureを除く)は、一定の最小値に達した。0.5mMCa濃度で記録された最小IPSCの平均コンダクタンスは650psであった。この値は、テトロドトキシン下に運動ニュ-ロンから記録された自発性微小IPSCの平均コンダクタンスとほぼ一致した。従って、Ca低濃度において観察される最小IPSCは、素量IPSCに相当すると考えられる。素量IPSCの平均振幅は、運動ニュ-ロンごとに、約3倍異なった。単一介在ニュ-ロン刺激により誘発された素量IPSCの分散係数は、平均0.50であった。IPSCの立ち上がり時間と、振幅との間には、相関が認められないことから、素量IPSCのばらつきは、伝達物質放出部位の位置的相違によるものではないと推測される。IPSCの統計的性質を検討した結果、IPSCの振幅は、二項分布には、適合しないことが明かになった。新生ラット脊髄運動ニュ-ロンのIPSCは、不均一なサイズの伝達物質素量子により構成されていると結論される。
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