研究課題/領域番号 |
01540551
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1990年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 生物群集の成立過程 / 環境の異質性 / ハナヤサイサンゴ / サンゴガニ類 / 種内・種間関係 / 共生 / 種・面積曲線 / 種一面積曲線 / 群集構造 / 種の多様性 / 種-面積関係 |
研究概要 |
ハナヤサイサンゴの枝間に棲息している甲殻類を中心とした小動物群集の成立過程を、サンゴサイズの種組成に及ぼす影響と小動物間の種間関係を中心に調べた。種数、個体数、種の多様性はサンゴサイズの増加と共に増加し、体積当たりの種数、個体数は逆に減少した。これは大型群体には大型の甲殻類が棲息しており、1個体当たりの資源要求量がより大きいためであろうと予測した。種組成は種内・種間関係によって決定されるようで、激しい排他行動が頻繁に観察されたが、一方では全く逆に侵入者を容易に受け入れる場合も多く、関係は複雑であった。一般的にはサンゴガニの抱卵雌は他個体を排斥する傾向が強かったが、他の種間では、サイズが重要(大型個体が強い)と考えられた。従って、種組成の決定には大型個体が何らかの原因でその群体から消滅した場合、次にどの種が定着、成長に成功するかという点が重要であり、生活史のパタ-ン解明の必要に迫られた。サンゴガニ類は年間を通じて定着している種と定着が一時期に限定されている種に大別できる。種間競争が起こり易い時期と種内競争が起こり易い時期があるようである。また小型個体は群体基部の狭い隙間に棲息しているので成長に伴った他個体との関わりも重要である。ハナヤサイサンゴに棲息しているサンゴガニ類は他科に属するサンゴからは見いだせない。ホストサンゴの選択実験を行った結果、ミドリイシ類(これには近縁のサンゴガニ類が棲息している)を選択する事は殆どないが、ハナヤサイサンゴの群体間は移動する事がある。結論として共生生物群集の成立過程において、群体内の環境構造、特に環境の異質性や空間サイズ、及び種内・種間関係が重要である事が指摘できたが、その成立過程の予測は困難なもののようである。
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