研究課題/領域番号 |
01570497
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
今西 愿 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90108689)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヒト心房筋 / 脱分極異常自動能 / 細胞内カリウムイオン活性 / 細胞内ナトリウムイオン活性 / 単離ヒト心房筋細胞 / アセチルコリン / ニコランジル / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 病的ヒト心房筋 / Triggered Activity / 単離ヒト心房細胞 / パッチクランプ |
研究概要 |
1.研究経過:開心術時に得たヒト右心耳より0.8×2.0mm大の櫛状筋を摘出し標本とした。その活動電位と収縮張力に対する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の作用を検討したが、有意な変化が認められなかった。そこで二連式K^+およびNa^+感受性微小電極を用い、細胞内K^+およびNa^+イオン活性を実測し、当標本の約70%が示す異常自動能の発生機序を検討することにした。他方、本標本を細切し、コラゲナ-ゼやプロテア-ゼを含む液を潅流することにより単一ヒト心房筋細胞を分離し、これにパッチクランプ法を適用し、ANPの電気生理学的作用の検討を試みた。2.結果:ヒト心房筋細胞の、細胞内K^+活性(a^i_K)は平均99.7mMまた細胞内Na^+活性(a^i_<Na>)は平均6.9mMであった。また静止膜電位は平均ー44mVと脱分極がみられ、これが異常自動能発生の直接的原因と考えられた。以上の成績より本標本のa^i_<Na>とa^i_Kは生理的な濃度範囲内にあることが分かった。すなわち当標本が脱分極している原因として、a^i_Kの減少やa^i_<Na>の増加(NaーKポンプ機能の傷害)は否定され、膜のK^+透過性の低下が強く示唆された。他方、ヒト心房筋単離細胞の回収率は31症例中4個と悪く、4個の中3個は無Ca^<2+>液で潅流しなければ細胞が劣化し実験不可能となった。単離に成功した最良の細胞においても内向き整流K^+電流Na^+電流、一過性外向き電流は記録出来たが、当初からANPの作用を検討しようと計画していたCa^<2+>電流は、一過性外向き電流に隠れて十分観察出来なかった。本単離細胞が生理的か否かを検討する目的で、無Ca^<2+>潅流下、保持電位ー40mVでー120mVから+60mV、500msecのパルスを加えた時の電流ー電圧曲線を求め、対照と作用機序の明らかな薬剤アセチルコリンとニコラジル存在下で比較した。その結果、両薬剤とも予想通りの結果が得られ、我々の細胞単離法の妥当性が示された。3.展望:単一ヒト心房筋細胞に対するANP作用の検討は今後の課題としたい。
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