研究概要 |
Pー450HFLa及びPP4について免疫組織学的検索(ABC法)並びに血清学的検索(EIA法)を行い,1989ー1991年の間に以下の事を明らかにした。 1.Pー450HFLa (1)胎児肝臓における免疫学的陽性度はageーdependentで,ヒト胎盤絨毛とのクロスも認められた。子官体癌の86%でも明瞭な局在が認められ,oncodevelopmentel proteinである事が判明した。 (2)健常男女における正常上限は3u/ml(平均+2σ)で,月経周期による変動は無く,妊娠末期母体血の93%で上昇が認められた。 (3)良性婦人科疾患では10%以下の低治療前血中高値率であったが,「子官体癌」では100%の陽性率で平均値も11.4u/mlに達し,本疾患の腫瘍マ-カ-として臨床応用可能である事が示唆された。 2.PP4 (1)胎盤における主局在は絨毛及び脱落膜で,カニクイ猿胎盤ともクロスした。子官体癌における局在率は20%と低率であったが,子官内膜間質細胞では強陽性であり,この事が進行初期より血中高値をとる理由の一つと思われた。 (2)健常男女における正常上限は10.9ng/ml(平均+2σ)で,黄体期に上昇し,妊娠末期に著しく低下する傾向が見られた。分娩中母体血,及び羊水中で高値をとり,脱落膜より羊水,母体血への漏出が示唆された。 (3)良性婦人科疾患では18%以下の低治療前血中高値率であったが,「子官体癌I期」でも47%の高陽性率で,子官体癌早期診断への臨床応用の可能性が示唆された。
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