研究分担者 |
岡 暢 日立金属株式会社, 開発本部, 主担技師
杉本 諭 東北大学, 工学部, 助教授 (10171175)
田中 煕巳 (田中 照巳) 東北大学, 工学部, 助手 (70005289)
岡田 益男 東北大学, 工学部, 助教授 (80133049)
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研究概要 |
現在,最大エネルギ-積30MGOe次上の高性能磁石にはSmco系,NdーFeーB系など希土類系化合物が用いられている。しかし,それらの主成分にはJm,NdあるいはCoを用いるため,資源的な問題をかかえた工業材料であり,価格当りの性能は低い。本研究では鉄が主成分である希土類(R)ーFeーB系に注目し,Rとして希土類元素の分離積製過程で得られる中間生成物で価格および資源的に有利である混合希土類Ceジジム(主成分Ce,Pr,Nd)を用いて(BH)max=300KJ/m^3以上の高性能希土類磁石を開発することを目的とした。その結果,Ceの含有量が5%以下のCe・ジジムを用いることによって320KJ/m^3の(BH)maxを得ることに成功した。得られた磁気特性と組織との関係をEPMA,TEMを用いて解析し,Ceジジムの中のCe量が3〜5%の場合には主磁性相の磁気特性をほとんど変化させずに,焼結性を向上することを明らにした。これはCeが焼結組織においてR_2Fe_<14>B相の界面に偏折しやすい傾向をもち,焼結温度を低下させるためである。本系磁局のキュリ-混圧はCoの添加によって増加するが20%以上で保磁力が急激に低下する。これはR(FeCo)_3,R(FeCo)_2相の折出によるものである。本系磁石の製造工程は他の希土類磁石とほぼ同じあって工業化に対する支障はない。しかし希土類元素にCe,Prを含むために磁比の強さが低下するために,高い残留磁束密度が得られにくく,高(BH)max型の磁石材料よりも,低価格代の特長を主して調用性の希土類磁石として発展することが期待できる。また最近,機械的性質の改善と生産性の向上から,ゴムやプラスチィックを混合したボンデット磁石が増大している。本系磁石のボンデッド磁石甲磁性粉への応用を検討した結果,NdーFeーB原と同程度の特性が得られることから,ボンデッド磁石粉としても適応できることを明らかにした。以上,本研究によって高性能低価格希土類磁石の開発が可能になったと考える。
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