研究概要 |
kを標数0の代数閉体とし、Kをk上の純粋超越拡大体とする。又LをK上の2次拡大体とする。Kのk上の超越次数が1の時は古典的によく知られている,すなわちK=k(x)とするとき,L=K(y)でy=(xーa_1)(xーa_<2n+1>)と表わせる。そしてLのモデルは有理曲線が楕円曲線かまたは超楕円曲線曲線であった。我々はKのk上の超越次数が2つ時にLの研究をそのモデルである代数曲面を通じて行った。 まずLを与える定義方程式はK(√<f(x_1y)>)でf(x_1y)は被約かつ偶数次の多項式でP^2内のf=0で定められる曲線は高々通常特異点のみを持つというものを選べる,という事実を証明した。次にこのことに基づいてまずLのモデルとしてP^2上f=0で分岐する2重被覆をとり,それの非特異化としてSを考える。このSについて双有理幾何学の立場から研究した。Sはエンリケス・小平の分類表のほとんどすべてにわたって存在するが,ア-ベル曲面と超楕円曲面に双有理同値には)なりえないことが判明した。更に最も多く存在するクラスは,一般型のクラスであることが判り、そこでのクラスの中にいかに分布しているかを調べることになった。そこでいわゆるgeographyの方法によってこのことを実行した。fの次数と曲線f=0の特異点の重複度によっておおよそいつ極小一般型代数曲面になるかということや,いつ不正則数が0になるかということ,更にc_1^2/C_2の値のfの次数が無限大になったときの極限値等も得られた。また望外の副産物として平面曲線の存在に関する新しい事実も得られた。 なお我々は3次元射影空間内の超曲面とその余空間の研究を手がけて来たが,その研究に関連して是非まず扱うべき対象として上記の方向に進んだ訳である。
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