研究概要 |
動画像をフィルタリングする高速再帰形二次元ディジタルのフィルタをマルチプロセッサシステムで構成する方法と、計算効率の良いアルゴリズムを開発した。画面を格子状にPxQサンプルの方形領域に分割し,各領域内を逐次または並列処理し,かつ領域間で並列に処理する。領域内処理にはRoessorモデルを用いた状態空間法を用いた。 1.領域間の同期ー領域の処理システムより算出した水平,垂直変数をそれぞれ右隣,上隣の領域の処理システムに渡す。水平,垂直二方向リング結合システムと一方向(垂直)リング結合システムを検討し,各処理システムが状態変数入力待ちで遊びを生じないためのタイミング条件を導いた。 2.領域内処理のアルゴリズムーサンプル当りの演算数を減らす点と演算の並列度を上げる点の二点より処理速度を上げるため,既知の二次元ブロック処理法に加え,新しく零状態ブロック処理法,擬似零状態ブロック処理法を考案し,計三種のアルゴリズムを比較し,擬似法が一般的に優れていることを見出した。 3.分母分離形伝達関数の処理システムの効率向上 この形に対するブロック状態行列は高いスペ-ス性を持っているので,行,列をそれぞれ交換して行列のサイズを圧縮し,プロセッサ数の節減と処理速度の向上を達成した。 4.一方向リング結合システムの最適設計 一方向システムは,一画像フレ-ムの処理開始より終了までの時間が,二方向システムより短いという特徴がある。一方向システムに対して,指定されたスル-プットを最小数のプロセッサで実現するための条件:領域の形状,同時領域処理数をシミュレ-ションにより見出した。
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