研究概要 |
施設園芸においてみられるように植物生育環境に対しては植物工場などに代表される高度な環境制御技術がほぼ完成している.しかし,それはあくまでも気温や日照に相当する植物を取り巻く生育環境要素を対称とした制御であり、植物生長を積極的に制御するものではない.農業機械学分野の計測制御に関する研究成果の蓄積は植物生産において植物により接近した見地から新たな技術的可能性をみいだすに余りある.その計測制御の技術的理論的蓄養とフィジオメカニックス理論の融合の上に植物生長そのものを制御対象とする理論的実験的研究を展開することが本研究の目的である.目的を具体的に示すと根端分裂組織の細胞生長・生理・代謝に関してフィジオメカニックス理論とデジタル制御理論を基にそれに整合するファジイ線形システムの同定を行うこと,また,養液栽培で根端分裂組織の生長を工学的手法で制御するシステムを開発することである.根菜類の水耕栽培は大根などで実験的に成功しているが実用栽倍のレベルには至っていない.しかし,根端分裂組織の生長速度を制御することが可能になれば根菜類の水耕栽培はもとより,植物生産に新たな技術的飛躍をもたらすことはいうまでもない.根端分裂組織の生長速度の制御はフィジオメカニックス理論の上からは不可能な課題ではない。 本研究は,フィジォメカニックス理論を基礎に植物の根端分裂組織に直接的操作を加えることによりその成長速度の制御について次のような理論的,実験的考察を行った,まず,根端分裂組織の細胞生長・生理・代謝に関してフィジオメカニックス理論と非線形システム論を基にそれに整合するシステム同定をニュ-ラルネットワ-クを用いて行った.次に,養液栽培で根端分裂組織の生長を工学的手法で制御するシステムを水ポテンシャル制御と物理刺激(超音波)によって実現した.
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