研究分担者 |
J HILDEBRAND カリフォルニア大, 助教授
C COX カリフォルニア大, 教授
G.M PURDY ウッズホール海洋研, 教授
R BUTLER IRIS地震学研, 室長
A CHAVE ウッズホール海洋研, 副研究員
上嶋 誠 東大地震研, 助手 (70242154)
C HELSLEY ハワイ大地球物理研, 所長
佐藤 利典 東大地震研, 助手 (70222015)
木下 肇 東大地震研, 教授 (10110347)
島崎 邦彦 東大地震研, 教授 (50012951)
田中 良和 京大理学部, 助手 (00025420)
是沢 定之 東大地震研, 助手 (80012946)
湯元 清文 名大太陽地球環境研, 助教授 (20125686)
片尾 浩 京大防災研, 助手 (80221878)
浜野 洋三 東大理学部, 教授 (90011709)
歌田 久司 東大地震研, 助教授 (70134632)
笠原 順三 東大地震研, 教授 (70012953)
HILDEBRAND J Associate Professor, Univ. of California
PURDY G Professor, Woods Hole Ocean. lnst.
HALSLEY C Hawaii lnstitute of Geophysics, Univ. of Hawaii
BUTLER R IRIS
CHAVE A Woods Hole Ocean. lnst.
COX C Professor, Univ. of California
SHULTZ A. ケンブリッジ大学, 教授
COX C. カリフォルニア大学, スクリップス海洋研究所, 教授
PURDY G.M. WHOI ウッズホール海洋研究所, 教授
BUTLER R. IRIS, 地震学研究室, 室長
CHAVE A. WHOI, ウッズホール海洋研究所, 教授
HELSLEY C. ハワイ大学, 地球物理研究所, 所長
|
研究概要 |
本研究は,商用通信ケーブルであったGeO-TOCケーブル(二宮〜グアム間,2,700km,東大地震研と米国IRISの共同所有)を再利用して西太平洋の地球物理に関する研究を行うための基礎研究である。この研究の目的は大きく分けて2つある。1)ケーブルの両端に発生する自然電位の測定とその周辺の西太平洋,特にフィリピン海の周辺の地域における地磁気の測定を行い地球深部の電気伝導度異常を調べること,2)将来ケーブルに沿って設置を計画している地震観測点を有効利用するため,地震観測点の設置候補地点である北緯18度のマリアナトラフにおける自然地震の調査とそこの徴細地形,また陸上から地震活動度を把握するための陸上観測である。 1)に関し以下の観測を行い,次のような結果を得た。電位差の測定を行うため海底ケーブルの日本側端末である神奈川県二宮においてケーブルの高周波と直流の分離,直流の接地を行い,デジタル式電流計を設置した。一方,計測を行うグアム側において電源供給設備の整備を行うとともにその際無給電時の自然電位の測位を行った。さらに,給電を行いながら連続記録を開始した。同時にグアム局社内,および米国地質調査所グアム支所内に地磁気3成分測定装置を設置し連続測定を開始した。給電を行わないときの電位差の測定はわずか8時間であったが,極めてS/Nが高い記録を得,グアムおよび気象庁柿丘地磁気観測所の地磁気水平成分と比較すると,むしろ柿丘の記録によく似ており,超長基スパンの特性を反映して短周期の雑音が極めて低い電位差記録が得られた(低温測定)。その後給電を開始して測定を約1年以上にわたり継続中である。給電装置は定電流回路が組み込まれているが,電源の揺らぎの影響が現れていた。これを除去するため温度変化の測定も開始した。これらの結果を用いて温度変化による効果を取り除き,地磁気変化に伴う地球電場の変化と思われるものを取り出した(給電測定)。低温,給電の両者の結果を総合しMT法による解析を行った。その結果,地球内部深さ200km程度の電気伝導度の分布をフィユーらが移動型機器を用い観測した結果と比較すると,島弧の下の構造に対するものよりは,背弧海盆に対するものに近い結果が得られた。さらにより深部の構造を得るべく,長期観測を継続中である。また,東西方向の地下電気伝導度分布を知るためにグアム〜フィリピン間の研測を開始するべくフィリピンの接地工事を終了した。米国はハワイ〜グアム間の測定の準備が整った。 地震観測は2つの主要な観測を実施した。a)マリアナトラフの北緯18度において自然地震,地殻構造,微細海底地形の調査,b)速度型地震計と加速度計との比較観測をグアム,サイパン,ホノルルにおける広帯域地震観測,3)海底の雑音スペクトル,である。マリアナトラフの軸付近の海底地形から多くの正断層が見つかった。地形は低速拡大の大西洋中央海嶺に極めて類似していた。4台の海底地震計を用いた観測から,わずか1日の間にトラフ軸及びトラフセグメント境界に一日に30個に達する微小地震が観測された。トラフ軸にあるといわれる熱水地帯では地震活動は低かった。ケーブル式海底観測にとって重要な雑音スペクトルの様子を調べた。ケーブル沿いの相模湾,房総沖,マリアナトラフの特徴を周期100-0.03秒までの周期で得た。陸上における観測では,イベント式の記録装置,2Hzの地震計を用いたために遠地地震を観測することは極めて困難であった。グアム,サイパン島では台風による10日間を超える停電や供給能力不足による停電などが極めて多かった。また,トラクター,採石などの人為的雑音はミストリガーを多発し,それを避けようとすると商用電源が無いなど極めて多くの問題を抱えている。サイパン島の観測から,サイパン島周辺の微小地震が多数観測されたが,米国地位調査所の観測データのある北マリアナ諸島のパガン周辺の火山性地震活動は地震規模が小さいせいもあって観測されていない。グアム周辺の微小地震もサイパン島同様多数観測された。ホノルルの観測点はホノルル地震の地震活動度の低さと,地震計の特性,トリガー式の特性のために観測にかかった地震は極めて少なかった。
|