研究課題/領域番号 |
03045041
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
多部田 修 長崎大学, 水産学部附属水産実験所, 教授 (50217171)
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研究分担者 |
韓 景鎬 釜山水産大学校, 海洋生物学科, 助教授
李 珠煕 釜山水産大学校, 漁業学科, 副教授
姜 龍柱 釜山水産大学校, 海洋生物学科, 教授
金 容億 釜山水産大学校, 海洋生物学科, 教授
白木原 國雄 長崎大学, 水産学部, 助教授 (90196618)
夏苅 豊 長崎大学, 水産学部, 教授 (10039729)
田北 徹 長崎大学, 水産学部, 教授 (30039721)
千田 哲資 長崎大学, 水産学部, 教授 (40100888)
HANG Kyon ho Assistant Professor, National Fisheries University of Pusan
KANG Yong ju Professor, National Fisheries University of Pusan
KIM Yong uku Professor, National Fisheries University of Pusan
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研究期間 (年度) |
1991 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1993年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1992年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1991年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 韓国東岸 / フグ類 / 出現種 / マフグ / トラフグ / クサフグ / 集団遺伝学的解析 / 寄生虫と骨格変化 / トラフグ類 / サバフグ類 / 韓国産 / トラフグ放流効果 / 有毒フグ類 / トラフグ産卵場 / 自然交雑種 |
研究概要 |
平成5年度の韓国における調査は、5月7〜8日に釜山水産大学校における打ち合わせ会議の後5月9〜12日に韓国東岸の次の12個所においてフグ類の観察、標本の採集、聞取調査を行った。 (1)国立水産振興院東海水産研究所(慶尚北道浦項市)、(2)海苑養殖場(慶尚北道迎日郡九龍浦)、(3)甘浦魚市場(慶尚北道迎日郡甘浦)、(4)浦項魚市場(慶尚北道浦項市)、(5)国立水産振興院迎日水産種苗培養場(慶尚北道迎日郡)、(6)厚項魚市場(慶尚北道英陽郡厚浦)、(7)国立水産振興院蔚珍水産種苗培養場(慶尚北道蔚珍郡珍)、(8)竹辺里漁港(慶尚北道蔚珍郡)、(9)臨院漁港(慶尚北道三陟郡)、(10)国立産振興院注文津水産種苗培養場(江原道注文津)、(11)注文津漁港及び魚市場(江原道注文津)、(12)束草魚市場(江原道束草)。 調査の結果は以下の通りである。 1.フグ類は種類数、個体数共に予想以上に多く出現し、出現頻度及び出現個体数の順位はマフグ、トラフグ、クサフグ、シマフグ、ゴマフグ、ヒガンフグであった。マフグは各地に出現し、東部南岸の甘浦魚市場(慶尚北道迎日郡甘浦)においては、特にトラフグが目立った。 2.東岸南部の慶尚北道迎日郡九龍浦の養殖場には天然種苗の迷入によるトラフグ若魚が多数みられ、この付近にトラフグの産卵場のあることが予想された。韓国におけるトラフグの産卵場はこれまでにも南岸で観察されているが、東岸にも存在するようである。 3.東岸北部の束草及び注文津魚市場において、尾鰭の変形したトラフグを観察した。これらは明らかにわが国において種苗生産し、放流したもので、日本産トラフグがこの地にも回遊していることが判明した。 4.今回の韓国東岸の観察において、マフグは出現頻度が最も高く、出現個体は最も多かった。韓国南岸の調査(1991年度)においてはトラフグ、西岸の調査(1992)においてはナシフグが多数認められているので、韓国におけるフグ類の分布には地域性のあることが予想される。 5.今回採集した標本について、現在アイソザイムによる集団遺伝学的解析を行っている。この結果について、わが国産フグ類と比較を行う予定である。 6.昨年度に引き続き、韓国産(忠武)、知多半島及び大村湾のクサフグについて集団遺伝学的研究を行った結果、大村湾産クサフグは遺伝的には、地理的に近い忠武産よりも知多半島産に近いことが判明した。大村湾と忠武の間には対馬海峡が存在し、大村湾と知多半島は沿岸域で連続している。従って、沿岸魚のクサフグにおける遺伝的交流は沿岸域を通して行われると推察された。 本年度のわが国における共同調査は、12月6〜10日に長崎大学水産学部、大阪魚市場、岸和田市のフグ博物館(北濱喜一氏所有)において行い、次の結果を得た。 1.長崎大学水産学部所蔵のフグ標本を観察、計測した。併せて、長崎市茂木漁港におけるナシフグの調査を行った。ナシフグは本年2月3日に厚生省により食用禁止とされたが、主要生息場である長崎県橘湾、瀬戸内海産、韓国産について、今後生態、形態、遺伝学的研究を行うことが必要となった。今回はその調査法等について検討した。 2.大阪魚市場において、主として大阪において消費されるフグ類の種類と流通について調査しところ、種類はトラフグが多く、次はシマフグ、クサバフグ、シロサバフグ等の順であった。産地は下関の他、全国各地より集荷していることが明らかになった。季節的にみると、冬季を中心にしているが、周年にわたって集荷され、フグの消費には季節はないようであった。 3.フグ博物館には50種以上の世界中のフグ類及びその近縁種の骨格標本等が所蔵されいた。今回は、これらの標本を観察し、フグ類の分類について博物館の所有者北濱喜一氏と討議した。 4.今回の観察により、フグ類の頭部骨格は寄生虫(等脚類(甲殻類)の口蓋部寄生)により、大きく変形することが明らかになった。したがって、現在フグ類の分類形質として頭蓋骨がは最も重視されているが、その使用に際してはこの点に注意することが肝要であることが明らかになった。
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