研究分担者 |
土田 嘉昭 (土田 嘉明) 東京大学, 医学部, 教授 (80010164)
塩谷 弥兵衛 大阪大学, 医学部, 教授 (60028347)
鈴木 宏志 三重大学, 医学部, 教授 (20004632)
岡田 正 大阪大学, 医学部, 教授 (40028569)
岡部 郁夫 日本大学, 医学部, 助教授 (20059017)
水田 祥中 (水田 祥代) 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
横山 禳太郎 (横山 穣太郎) 慶応大学, 医学部, 助教授 (80051407)
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20068498)
森田 建 日本大学, 医学部, 教授 (50058814)
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配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
1993年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1991年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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研究概要 |
Hirschsprung病類縁疾患症例について,本研究班内において130例の症例を集積し,臨床的,病理学的及び生理学的な面から,その病態と診断・治療につき検討した。1)まずその定義として,aganglionosisを除いて小児の主として下部消化管の先天的な運動機能異常を示す疾患群のうち,腸壁内神経系が何等かの病理形態学的異常を示すものをHirschsprung病(H病)類縁疾患と定義し,通常の検索ではCIIPS,MMIHS等の形態的異常をみない群はH病類縁疾患から除いて考える方がコンセンサスを得られやすいと結論された。2)腸壁内神経系の異常を示す群,即ちH病類縁疾患の中で,壁内神経系の未熟群と減少群の2つが存在することが示された。壁内神経細胞未熟群は,大部分が肉眼的にmeconium ileus without mucoviscidosis,meconium diseaseの形態を示した。病理学的には検索された狭小小腸のみならず,拡張小腸においても壁内神経細胞の核・細胞とも小型で著しい未熟性を示した。この未熟群では回腸瘻造設後,数カ月後には壁内神経細胞の成熟化を示し,腸管運動機能の改善がみられ,小腸瘻閉鎖後はほぼ正常機能を示し,良好な予後を示した。別の面からみると,meconium ileus without mucoviscidosisの病態は壁内神経細胞の未熟性immaturity of gangliaに基づくことが示唆された。名称として,壁内神経細胞未熟症immature ganglionosisが提案された。未熟群では,神経細胞の未熟性は胎生5-6カ月以下の未熟性を示した。一方,壁内神経細胞減少群では神経細胞の減少程度は著しく,感覚的には正常の1/5以下の著しい減少程度を示した。減少範囲は検索したものでは小腸に及ぶ広範囲の異常を示すものが大部分であった。この減少群では正確な異常範囲の診断は困難なことが多く,多次手術になる例が多い。減少群の神経細胞は新生児期では殆ど未熟形態を示し,年令とともに神経細胞の成熟化を示した。しかし神経細胞数の増加はないため,その機能の正常運動機能に回復することは少なく,予後は良性疾患としては不良であった。減少群はその名称としてhypoganglionosisとし,hypogenesis of gangliaは減少の程度の差のみでhypoganglionosisの範疇に入れるのが妥当と考えられた。減少群もその50%にその肉眼形態はmeconium disease様形態を示した。〔結語〕本研究班では,H病類縁疾患の中で壁内神経細胞の未熟性を示すものと減少をみるものがあることを示し,未熟性のものはmeconium diseaseの本態を示すことを世界で初めて明らかにした。
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