研究分担者 |
福山 宏 九州歯科大学, 教授 (60037546)
高木 亨 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (20124696)
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
長塚 仁 岡山大学, 歯学部, 助手 (70237535)
竹下 信義 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00118275)
堤 啓 大阪医科大学, 検査部, 助教授 (10032864)
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研究概要 |
硬組織形成を示す歯原性、骨原性腫瘍の組織鑑別診断基準は、その硬組織の形態学的特徴によるところが大きい。しかし、従来の染色方法では、しばしば骨、軟骨、セメント質などを確実に区別することは困難である。この傾向は悪性腫瘍ほど強い。従って、それら腫瘍の組織鑑別診断を確実に行なうために硬組織の明確な鑑別基準が確立されることが望まれている。 歯原上皮性腫瘍のうち、エナメル上皮腫(瀘胞型、叢状型)、腺様歯原性腫瘍、エナメル上皮癌について、サイトケラチンに対する4種類のモノクローナル抗体、Ck-1,SE-K(56,56.5,58,68KD),NSE-K(52.5KD),19-K(40KD),アメロジェニン、エナメリンを用いて免疫組織化学的に検索した。細胞骨格の面から、瀘胞型エナメル上皮腫は歯胚上皮的性格を示し、叢状型エナメル上皮腫は胎生期粘膜上皮への分化を示したが、いずれもわずかなエナメル基質合成への機能分化の兆候を認めた。腺様歯原性腫瘍では、腫瘍実質の中央部と辺縁部で明らかな細胞骨格の差を認めた。その構築は瀘胞型エナメル上皮腫や歯胚とは逆転していた。アメロジェニン、エナメリンは、腫瘍細胞間の滴状物質腺管腔内、石灰化巣に存在したことから、腺様歯原性腫瘍がエナメル上皮腫より細胞機能が分化していることを示している。エナメル上皮癌はCK-1,SE-K,NSE-K,そして19-Kに部分的、不均一に陽性を示し、より未分化な上皮細胞の増殖であることが示唆された。軟骨におけるコラーゲン免疫染色の酵素処理法として、I型およびIII型はヒアルロニダーゼ処理が、II型はペプシン処理が良好な染色性を示したことから、コラーゲン分子種の相違により適切な酵素処理法を選択する必要があることが示唆された。これらの結果は今後、骨原性腫瘍の鑑別法を確立するのに重要なデータとなる。
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