配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1993年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1991年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
1.光を照射することにより,酸化物超電導体の臨界電流は低下し,発生電圧が増加する,即ち超電導-常電導転移が促進される.転移促進効果のスペクトル特性を求めたところ,紫外領域の効果が大きいことが分かった.別に求めた試料自体の光吸収特性は,実験の波長領域でほぼ一定であることから,非熱的な機構の可能性が示唆された. 2.光照射下の電流-電圧特性は,非照射時に比して,大きなバラツキを持ち,バラツキは光強度とともに増加する.光照射下での試料の温度上昇は計算機シミュレーションから0.5K程度と評価できた.加圧により液体窒素温度を0.5K程度上昇させても光照射なしではバラツキは増加しない.このことから,光照射効果の発生機構として,光によるピン止め磁束の脱出促進などの電子的機構が有力と考えられる. 3.強度が一定のパルス光を照射し,電流値を増加させた場合,V-I特性の上昇分電圧は大きくなるが,遅れ時間,ピーク時間はほぼ変化しない.一方,一定電流の下で光強度を増加させた場合,上昇分電圧は大きくなり,遅れ時間,ピーク時間は短くなる.同一試料であっても,光の照射部位によって発生電圧が異なることが分かった. 4.YBCO薄膜試料のパルス光に対する応答は大きくかつ極めて速く,幅50μsのパルス光に対しては,10μs程度の遅れで追従することが明かとなった.試料が薄いほど光の影響を受ける試料体積の割合が増し,拘束されている磁束が動きやすくなるためと考えられる. 5.外部磁界を印加した状態で,V-I特性に及ぼす光照射の効果を測定したところ,光照射による電圧上昇は,暗中での発生電圧値が同じ場合を比較すると,500ガウスまででは磁界強度にはあまり依存しないことが分かった.また,発生電圧のばらつきは磁界強度が大きくなると減少する傾向にある.
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