研究分担者 |
小山田 正幸 東北大学, 理学部, 助教授 (90004358)
近藤 泰洋 東北大学, 工学部, 助教授 (20013534)
伊師 君弘 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (00125494)
柴田 行男 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (70006154)
大坂 俊明 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (20152100)
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研究概要 |
東北大核理研のライナックを用い、コヒーレント放射光の最も基礎的な性質としての可干渉性を、干渉分光装置を用いてバンチ間の干渉図形を観測して確認した。更に、スペクトルの微細構造を高分解観測して、バンチ間干渉による微細構造を確認した。更に、金属版のシールド版を発光点に設置して、コヒーレント放射光のシールドによる抑制が起こることを確認した。研究の途中で見いだされたコヒーレントな遷移放射についても研究を行った。そのスペクトルを観測し,波長が1mm付近にピークがあること,強度と発光長の関係,放射強度の角度依存性及び偏光度等が,総て理論的な予測と一致することを確認した。遷移放射光を用いて,分光計測装置を二種製作した。一は波長範囲を従来の装置よりも長波長側へ拡大して高分解観測にするもので,波長3mm迄は高精度で測れて,波長5mm付近までの透過率の測定が可能であった。二は短時間現象の観測装置で,電子線と遠赤外線のパルスがが試料に位置で,同時に交差するようにして,電子線照射により結晶中に生じる格子欠陥による,マイクロ秒程度の寿命の状態の検出するものである。この場合は,バンチ280ヶ程を含んだ幅100nsの電子パルスによる試料の透過スペクトル短時間観測が,波長0.2から数ミリの遠赤外領域で可能な事を確認した。 コヒーレント放射光及びコヒーレントな遷移放射のスペクトルから,バンチ内の電子の分布関係を求めた結果は,半値幅0.26〜0.27mmの,ガウス曲線に類似した分布が得られた。更に,遷移放射の強度の角度分布の観測から,ビームのエミッタンスが求められる事を確認した。これらの結果は,コヒーレントな放射の観測は,ピコ秒以下の短バンチが観測可能な,高分解のバンチ形状計測の新しい手法であることを実証するものである。
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