研究概要 |
坂田はリエナール方程式系x=y-F(x),y=-g(x),xg(x)>0(x≠0),F(-x)=-F(x)において、F(x)がxの増加に伴い振動しながら減衰する場合に、|F(x)|が適当な大きさ(小さい)のとき、例えばF(x)=sinx,g(x)=λxのとき、零解以外の周期解が存在することを示した。更にこの場合、周期解が存在するための十分条件がF(x)の零点x_<i-1>,x_iに対し[x_<i-1>,x_i]におけるF(x)の積分の値に関連した形で与えられると予測されるが、これを明らかにすることが今後の課題である。 溝畑は熱方程式の境界値問題(∂u)/(∂t)(x,y,t)=△u(x,y,t)inΩ={(x,y)1y≦0},a(x)(∂u)/(∂y)+b(x)u=0(y=0),u(x,y,0)=uo(x,y),a(x)^2+b(x)^2=1に対し、a(x)≧0の零点が有限次のとき、一意可解であるためには、a(x)の零点においてb(x)=1であることが必要であることを示した。尚、これが十分条件であることは早くから知られていた。また、この結果を完全にするには積分微分方程式(a(x)-Λ^<-1>)ψ(x)=0(xεR)の零解ψ(x)εS'をa(x)がx=0で無限次の零点をもつ場合に構成する必要がある。これは常微分方程式のTurning pointと関係があると考えられ、このテーマについて調べたが、まだ目的には達していない。 山原は(松本と共に)偏微分方程式に対する初期値問題の一意可解性についての「コーシー・コワレフスカヤの定理」に相当する結果を方程式系について示した。また、方程式系に対するGevrayクラスにおける一意可解性について「Leray-Ohyaの定理」における特性根の重複度rに代わるものの導入に関して研究中である。
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