研究概要 |
前年度に続き,坂田はLienard方程式系x^^`=y-F(x),y^^・=-λxに対し,奇関数F(x)がxの増加に伴い振動しながら減衰する場合に,周期解の存在とその個数について調べている。減衰の度合が極端な場合は周期解が存在しないことは当然予測されるので,どの程度の減衰の度合が周期解の存在と非存在の境目であるかを調べることも1つの目標としているが,さし当っては,F(x)の連続した零点x_<i-1>,xiに対し区間[x_<i-1>,xi]でのF(x)の積分の値と周期解の存在との間の関係付けを考えている。現在のところ,満足な結果には達っしていない。一方,溝畑,山原も前年度の研究を継続しているが,山原はGevrayクラスにおける初期値問題の一意可解性についての研究を行った。1960年代に発表された「Leray‐Ohyaの定理」から始まって,このGevrayクラスのカテゴリーにおける一意可解性の研究は多くの研究者によってなされ研究の方向も種々に広がった。その中で最も重要な定理は,「特性根の重複度の最大値をrとするとき,適切なGevrayクラスの指数はr/r-1で与えられる。」というものであろう。この定理を方程式系の場合について考えるとき,上の特性根の重複度rに代わるべきものが導入されねばならない。上記研究テーマのもとに,Leray‐Ohyaの論文,Bronsteinの論文といった基本的な論文を調べることから出発して,日本におけるこの方面の研究者,とりわけ筑波大の梶谷氏および阪大の西谷氏の論文等を目下調査研究中である。
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