研究課題/領域番号 |
03640630
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物形態・分類学
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三浦 知之 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (10199953)
|
研究期間 (年度) |
1991 – 1992
|
研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1992年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 系統分類 / 多毛類 / ウロコムシ科 / 深海生物地理 / 熱水噴出 / 地殻活動 / 冷水湧出 / 新種 |
研究概要 |
今年度も、世界的に分布する海洋の地殻活動特異点に産するウロコムシ科多毛類の形態観察などを行なった。当初の計画では、分析を進め系統解析の力をいれる予定であったが、伊豆小笠原海嶺系の日光海山の生物群集など新発見が連続し、ほとんどの亜科では形態分類の整理が追い付かず、事実上系統解析が不可能になった。しかし、最終的に1新科3新属4新種を含む13種が新たに各海域の熱水冷水湧出域に記録された。これらは熱水・冷水域に特異な10亜科に分類される。特に、Branchipolynoinae亜科のBranchipolynoe属の3種:B.symmytilida;B.seepensis;B.pettiboneaeは興味深い地理分布を示した。B.seepensisはメキシコ湾や大西洋中央海嶺のヒバリガイ類外套腔に寄生する。本種の大型の背鱗や二枝型の疣足はウロコムシ科で一般的な形態であり、本亜科の系統を考える場合、最も原始的な形質であると判断される。従って、本種田本亜科の中ではもっとも早く分岐した1種と判断される。他方、B.symmytilidaは本属で最も小型の背鱗を備え、疣足は退縮し、準二枝型であり、ガラパゴス拡大軸や東太平洋海膨に生息する。これに対し、B.pettiboneaeは準二枝型の疣足をもつが、背鱗は中間的な大きさであり、ラウ海盆や沖縄トラフなど太平洋西部に分布する。以上より、系統的にはガラパゴス・東太平洋海膨のB.symmytilidaが最も新しく、B.pettiboneaeは比較的最近B.symmytilidaから分岐したが、B.seepensisの分岐は古く、大西洋の開き始めた時期約2億年前頃と推定するのが妥当ではないか思われる。同様な(形態形質および地理的)分布傾向が他のウロコムシ類にも見られるかどうかは新知見を整理した上で今後検討する必要がある。
|