研究概要 |
1)平成3年度において,In vitro,in vivoのマスウIgE産生系を確立し,この系に種々のサイトカインを加えることによりIgE産生抑制サイトカインを見い出した。その1つとして,以前より明らかなIFN-γであり,今回我々が見い出したIL-2である。IL-2によるIgE産生抑制効果は抗IL-2抗体にて中和された。又in vivoにおいても,IgE産生をIL-2が抑制する可能性が示唆された。IgE産生抑制物質を開発するために,まず,各種サイトカイン(IL-2,IL-4,IL-6)の定量法を開発した。MTT法にて各種サイトカイン(IL-2,IL-4,IL-6)を微量定量することが可能となった。このサイトカイン定量法を用いて検討すると,慢性関節リウマチの治療薬剤として,用いられている金製剤が強力なIL-2誘導物質であり,In vitro,vivoにおいて,IgE産生を抑制することが判明した。 2)平成4年度において,ヒトIgE産生系においても,IL-2がその産生を抑制することが判明した。又,臨床上,血清IgE値の高値である,慢性関節リウマチの患者が金製剤による治療をうける際,症状の改善にともない,血清IgE値の減少が認められた。 以上の結果より,動物実験モデルによるIL-2のIgE産生抑制は,ヒトの実験系でも証明され,IL-2誘導物質である金製剤は,IgE産生を抑制することが判明した。金製剤と同様にIL-2を誘導する物質の開発は,今後アレルギー療法の治療に有力な手段となる可能性が示唆された。
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