研究概要 |
Zn-コプロポルフィリン簡易測定法の開発 HPLC法によるZn-コプロポルフィリンの測定はやや煩雑であるためベットサイドでは行いにくい。そこでC_<18>カートリッジカラムを用いてZn-コプロポルフィリンの迅速抽出系の確立を検討した。また,紫外線ランプ等を用いた簡易検出系も作成した。 胎便・羊水中Znコプロポルフィリンの生理的意義の解明 Zn-コプロポルフィリンは胎便・羊水中の特異物質であるが,その濃度は症例により異なる。Zn-コプロポルフィリンを母体血中で測定し,羊水塞栓症の診断を行う。本研究にとって羊水・胎便でのZn-コプロポルフィリンの動態を見ることは必須である。多数例の羊水・胎便を集め,Zn-コプロポルフィリンの濃度を測定しZn-コプロポルフィリンの羊水中,胎便中での意義を検討した。 C_<18>カートリッジカラムによる簡易測定キット開発 高速液体クロマトグラフィーの原理を用いたC_<18>カートリッジカラムを利用した血清中のZn-コプロポルフィリンの溶出条件を調べた。血清に一定量のZn-コプロポルフィリンをくわえそれをC_<18>カートリッジカラムに添加しアセトニトリル:燐酸緩衝液=1:4で溶出すると滴下3滴-6滴でZn-コプロポルフィリンが溶出されそれを濾紙に吸着させ紫外線ランプをあてるとZn-コプロポルフィリン特有のオレンジ色の蛍光が観察された。70nmol/l位の感度であり,さらに条件を工夫すれば血清中Zn-コプロポルフィリンの簡易測定法が可能と考えられた。 胎便中Zn-コプロポルフィリンと出生時体重の間に正の相関を認めた。また生後早期に便中のZn-コプロポルフィリンは低値となる事が明らかになった。アルカリフォスファターゼ値と胎便中Zn-コプロポルフィリンの間にも正の相関を認められZn酵素の活性化にZn-コプロポルフィリンが関与している事が示唆された。また胎便中Fe動態とZn-コプロポルフィリン量が関連することが明らかになり,今後胎便中Zn-コプロポルフィリンが胎児におけるヘム及びZn動態の指標になる物質である事が予想された。
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