研究概要 |
本研究は,我が国で初めての隕石衝突孔(Impact Crater)の発見と考えられる「高松クレータ」の地下構造調査に関するものである. これまで科学研究費の助成を受けて重力異常(500点)以外の方法でも地下構造を確認すべく,地磁気異常(110点),地震波反射法(2測線)などの地球物理学的探査を行ない,クレータの構造をかなり明確に描くことに成功した.すなわちこのクレータの直系は4km,深さ1.5kmであることが明らかになった. 本年度はこれまでの観測資料の整理・解析を進めると共に,地質学,鉱物学の情報を総合し,このクレータの成因に関して研究を深めた.この成因説としては隕石衝突説と火山カルデラ説とが考えられた.しかし,予想よりも早く隕石衝突を裏付ける鉱物がこの研究の途中から生じた共同研究者によって発見され,隕石衝突孔である可能性が極めて高くなった.火山活動が無い安定大陸ではこれらの鉱物が発見されただけで隕石衝突孔と認定されるほどの証拠能力をもっている.このように各分野の研究者の関心も高まり,この研究が一層発展する素地ができた. 地元高松市周辺でも市民の関心が高い.それと言うのも日本で初めての隕石孔というだけでなく,膨大な水資源としての現実的価値も有するからである.成因を明らかにする学術的目的だけでなく経済的価値を検討するためにも今後1000m級の深層ボーリングの実施を含めて多方面からの研究が切に求められる.
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