研究課題/領域番号 |
04454283
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 講師 (80183648)
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研究分担者 |
鈴木 孝 日本大学, 医学部, 助手
藤沢 孝人 日本大学, 医学部, 助手 (90256842)
佐貫 栄一 日本大学, 医学部, 講師 (50142500)
岩田 光正 日本大学, 医学部, 講師 (60160123)
岡部 郁夫 日本大学, 医学部, 教授 (20059017)
鎌田 力三郎 日本大学, 医学部, 教授 (00058835)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1993年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1992年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 進行性神経芽腫 / 自家骨髄移植 / 放射線治療 / HUS / 13cis retinoic acid / 内分泌機能 / trk-A / 嶋田分類 / 成長発育 / 再発因子 / 13-cis RA / trk癌遺伝子 / low affinity NGF receptor / 進行性神経芽細胞腫 / 14染色体欠損領域 / high affinity NGF / low affinity NGF / 予後 / 全身放射線照射 |
研究概要 |
(I)1994年10月までにStageIV神経芽腫の36例の移植後追跡期間は4〜87か月でEFS率は66.3%でN-myc増幅例と非増幅例、骨転移例と非転移例、TBI施行例と未施行例についてそれぞれEFS率を比較したがいずれも有意差は見られなかった。再発時期は移植後12か月前後で再発部位は骨、骨髄が多かった。また50%はPR時の移植例で、特異な合併症としてHUSが5例に見られこの原因としてTBIの関与が強く示唆された。局所照射は原発巣の再発防止に有効と思われた。今後はStageIVでN-myc増幅例、骨転移例を中心に初期化学療法及び移植前処置の化学療法を同一にし、TBIの有効性を比較検討する必要がある。 (II)A-BMTを施行したStageIV神経芽腫21例を対象にその残存腫瘍の再発防止を目的に13-cis-RAを100mg/m^2/day(分2)連日経口投与を行いその血中動態と副作用について検討した。血中濃度測定はHPLC法を用いた。血中濃度は投与量に比例して上昇し内服後2〜6時間後にピークが見られたがいずれも24時間後にはほとんど消失した。副作用は全例に軽度の粘膜障害、ALP、及びTGの上昇が見られ、特に腎障害を有した症例で副作用が著明に見られた。13-cis-RA(100mg/m^2/day)の12時間毎の経口投与はA-BMT後でも骨髄抑制は見られず、副作用も軽度であり腎障害がなければ投与可能である。 (III)追跡可能であった20例を対象に化学放射線療法の影響をみるために身長ならびに内分泌機能について検討した。その結果、(1)インスリン刺激によるGH分泌はほぼ正常であったが、睡眠中のGH分泌は半数が不良であった。血中のソマトメジンCは正常範囲内であった。(2)血中のT_3.T_4.Free T_4は正常範囲内であった。TRH負荷試験ではTSHの分泌過剰を示す例が2例、低反応が3例みられた。(3)血中LH,FSHの基礎値はほぼ正常範囲であった。(4)身長発達は移植後一時的に伸びが低下する傾向が見られたが、移植後1年後は良好であった。身長に関しては、TBIを行った患児と行わなかった患児との間に有意差はなかった。 (IV)trk癌遺伝子の発現を調べたものと同一検体よりDNAを抽出してSouthern Blottingを行いDNAレベルでの異常を検索したがこの遺伝子の増幅、欠失、再配列などの異常は認められなかった。また同様の方法でlow affinity NGF receptorについてもDNA レベルでの異常の有無を検索したが異常は認められなかった。trk癌遺伝子及びlow affinity NGF receptorの発現異常は遺伝子の増幅、欠失、再配列などの遺伝子の比較的大きな変化に基づくものではない事が判明した。本症の予後を知る上で重要であるtrk-Aの発現の有無と病理組織学的分類(嶋田分類)との関連について米国CCSGより提供された未治療の80症例の組織を用い検討した結果、神経芽腫においてtrk-Aの発現を検討することは、その予後を知る上で極めて重要であり、また嶋田分類を同時に行うことにより、より正確な予後判定が可能になると思われた。今後、少量の生検組織からも発現検出可能な、RT-PCRを用いた診断システムの確立が必要である。
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