研究概要 |
1.β-ヨノン環構造と疎水性相互作用 5,6-ジヒドロ;7,8-ジヒドロ;α-レチナール;3,4-ジヒトロの各レチナールアナログを合成し、アポレチノクロムとの色素形成を調べたところ、蛋白質によるβ-ヨノン環の認識は厳密ではない、6位のsp^2混成は重要、4-ブチルレチナールは色素を形成しないという結果を得た。 2.直鎖レチナールアナログとオプシンシフト 3,7-ジメチルドデカペンタエナール(DDP)はアポレチノクロムと色素形成する。そのオプシンシフトは1400cm^<-1>、天然の2400より小さい。 3.6Sの立体配座 6Sトランスまたはシスに固定されたアナログを合成、色素形成したところ、6S-シス構造である結果を得た。 4.レチノクロムテンプレートを用いる立体特異的光異性化 DDPの光異性化は有機溶媒中では全トランスから11-シスへ選択率8%、レチノクロムテンプレートではほぼ100%、3,7-DDTではレチノクロムを用いても11-シスを43%しか与えない。 5.レチノクロムのCDβバンドについて 8,18-メタノレチナールで再構成したレチノクロムはその正のCDαバンドに比して、βバンドが負で大きい。8,18-エタノレチナールのそれは、より小さくなった。 6.11-メチルレチナールアナログについて 11-メチルレチナール(1)、13-デメチル-11-メチルレチナール、9,13-ジデメチル-11-メチルレチナールを合成、アポレチノクロムと色素形成をした。1は有機溶媒中では10,12-ジS-シス配座の全トランス体である。これらのアナログはアポレチノクロムと色素形成し、その光照射によって、90%以上の選択率で11-シス体を与える。
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