研究課題/領域番号 |
04671535
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
室橋 郁生 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90182146)
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研究分担者 |
陣内 逸郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70162823)
別所 正美 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (40165519)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1992年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 白血病幹細胞 / AML / TGF-β1 / TNF-α / TGF-beta_1 / TNF-alpha / TGF-β |
研究概要 |
我々は、種々のサイトカインのヒト急性骨髄性白血病(AML)の白血病幹細胞の増殖、AML細胞の種々のproto-oncogeneの発現、アポトーシスの誘導、cell cycleに及ぼす以下のような作用を明らかにした。 1.TGF-β1の作用。TGF-β1はG-CSFによって支持された正常ヒト造血幹細胞の増殖は抑制せず、GM-CSF、IL-3、SCFの存在下の順で増殖抑制は増強した。白血病幹細胞の増殖に対するTGF-β1の抑制はいずれの増殖因子を用いた場合も極めて顕著であった。アンチセンスオリゴヌクレオチド、Northern blot analysisによる遺伝子発現の検討から、TGF-β1の増殖抑制作用には、c-Myc、c-Mybが関与する事が示唆された。TGF-β1は、正常造血幹細胞のうちより末分化なものをより強く抑制する事、白血病幹細胞に対する強力な増殖抑制作用は、内因性チロシンキナーゼ活性の活性化が関与する事が示唆された。又、c-kit、Fas mRNAの発現を抑制して、分化、アポトーシスと逆行する方向に作用すると思われた。 2.TNF-αの作用。TNF-αは単独でAML細胞を強力にS期に導入する。しかし、単独では白血病幹細胞の増殖は支持できず、IL-3などの他のサイトカインの存在が必要である。TNF-αは、c-kit、c-jun、Fas mRNAの発現を増強し、分化、増殖の方向に作用すると考えられた。TGF-β1はこのTNF-αの強力な増殖促進作用に拮抗的に作用した。 3.AML細胞のアポトーシス誘導。AML細胞を増殖因子非添加で、in vitro培養を行うと、一過性のc-jun、c-fos mRNAの発現がみられ、細胞のS期への移行、アポトーシス誘導が起こった。IL-3などの増殖因子を添加すると、c-junの低下、c-fosの増強が確認され、アポトーシスが阻止された。従って、c-jun/c-fosの比率の低下がアポトーシス阻止と関連していると考えられた。一部の症例では、AML細胞は、S期に入らず、c-junを発現せず、又アポトーシスも認めなかった。今後はさらに、cell cycleとアポトーシスの関係について、より詳細な検討が必要と考えている。
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