研究概要 |
本研究では,当研究代表者らが既に発見しているフェニルグリオキサール(PGO)試薬を基盤として,グアニン,そのヌクレオシド及びヌクレオチドの蛍光誘導体化反応及び化学発光反応の諸条件について検討し,以下の研究成果を得た. 1.グアニン関連化合物はPGO試薬と反応し,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)において各単一の蛍光ピークとして分離,蛍光検出できた.このプレカラム誘導体化HPLCによるグアニンヌクレオシ(チ)ドの検出下限(S/N=3)は140-720fmol/HPLC注入量であり,ラット脳組織及びヒト赤血球内のグアニンヌクレオシ(チ)ド類の一斉定量が可能であった.また,PGO試薬を二本鎖DNAのグアニン-シトシン塩基対の精密計測へ適用した. 2.PGO試薬はそれ自身無蛍光性であるので,HPLCにおけるポストカラム蛍光誘導体化検出反応に適用可能であった.検出下限(S/N=3)は3-10pmol/HPLC注入量であった.この方法により,生体試料(ヒト赤血球)中のグアニンヌクレオチド類を容易に計測できた. 3.PGO試薬を化学修飾した結果,より高感度な蛍光試薬3,4-ジメトキシPGO試薬を開発した.この試薬は,PGO試薬の場合よりも,より迅速かつ穏和な反応条件によりグアニンヌクレオシ(チ)ド類を蛍光体に導くことができ,検出感度も約4倍高めることが可能であった. 4.PGO試薬によるグアニンヌクレオシ(チ)ドの蛍光反応により生じた蛍光生成物はジメチルホルムアミド存在下,リン酸塩緩衝液のpHを弱アルカリ性へ導くと,強く発光した.蛍光法よりも約20倍高感度なグアニンヌクレオシ(チ)ド類の新規の化学発光分析法を開発した.
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