1.太陽系空間に存在する不規則形状塵を、フラクタル塵モデルで表わし、その光散乱特性を定量化する試みを続行した。平成4年度の、吸収・放射圧特性と波長依存性の研究に引き続き、平成5年度は、散乱特性の散乱角依存性についてまとめた。Discrete Dipole Approximationの有効性を示すと共にMaxwell-Garnett Mie理論の適用限界を明確に示した。 2.惑星間の塵の運動は、太陽散乱光のドプラー効果によって観測的に検討されてきた。従来、謎とされていたドプラー効果の観測結果を、理論的に再検討し、方程式の不備を指摘すると共に、不規則形状塵による光散乱効果が効くことを示した。特に、塵構造が太陽に近づくにつれて変化することを予測した点が特徴である。 3.不規則体による光散乱理論を、小惑星表面に応用し、その偏光特性と4179Toutatisの観測結果の比較を行った。小惑星表面が、異なるあらさを持った不均質領域に被われていることを示唆することができた。
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