研究概要 |
界面活性剤を鋳型として合成されるメソポーラスシリカ薄膜は,直径数nmのシリカナノチャンネルが集積することで形成され,その均一なチャンネル径からnmサイズの金属ナノ構造体の形成場として注目されている。本研究では,陽極酸化アルミナ膜を利用することで膜表面に対して垂直配向したシリカナノチャンネルを集積したメソポーラス薄膜(nanochannel-incorporated-alumina membrane:NAM)の構造的特徴を利用して,金属ナノワイヤーアレイの創製とバイオセンシングへの応用を目指した。実験では,片側面にカーボン膜を蒸着したNAMをカソードとし,塩化金酸のナノチャンネル内での電積を行った。その結果,直径が3-5nm程度の金属ナノワイヤーが炭素薄膜上に集積可能であることが分かった。また,塩化白金酸を用いた用いた系においても同様に白金ナノワイヤーの集積が確認され,NAMを利用した金属ナノワイヤーアレイが形成可能であることを実証した。また,得られた金属ナノワイヤーの結晶構造に関してXRDおよび電子線回折測定を行った。その結果,金ナノワイヤーでは単結晶様の回折パターンが得られた。この結果は,シリカナノチャンネル内での金ナノワイヤーの結晶成長において,成長する結晶方向が一様であることを示すものである。一方,白金ナノワイヤーにおいては,多結晶様の回折パターンであり白金においては結晶成長の方向が一様でないことが分かった。このように,ナノ空間内での結晶成長に関する興味深い知見を得ることが出来た。
|