研究課題/領域番号 |
05044130
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅田 浩二 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (50027182)
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研究分担者 |
HEBER Ulrich ヴィルツブルグ大学, 第一植物学研究所, 教授
SCHREIBER Ul ヴィルツブルグ大学, 第一植物学研究所, 教授
三宅 親弘 京都大学, 食糧科学研究所, 学術振興会 特別研究
真野 純一 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (50243100)
遠藤 剛 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (90201962)
HEBER U. ヴュルツブルク大学, 植物教室, 教授
SCHREIBER U. ヴュルツブルク大学, 植物教室, 教授
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 活性酸素 / 光酸素障害 / アスコルビン酸ペルオキシダーゼ / モノデヒドロアスコルビン酸レダクターゼ / 循環的電子伝達反応 / シトクロムb-559 / ピリジンヌクレオチドデヒドロゲナーゼ / スーパーオキシドラジカル / 光合成 / 葉緑体 / 光・酸素ストレス / 循環的電子伝達 / プロトン勾配 / モノデヒドロアスコルビン酸 / フェレドキシン / 電子スピン共鳴 |
研究概要 |
植物は光、温度、CO_2濃度など光合成に関与する環境因子の変動に常にさらされている。これらの要因の組合せによって光エネルギーが過剰になると活性酸素が生じ、障害をもたらすが、それを防ぐため活性酸素の生成抑制、消去の二つの緩和機構を植物はもっている。本研究では活性酸素の生成抑制と消去についてドイツWurzburg大学のHeber教授、Schreiber教授と共同研究を行い、以下の研究成果を得た。 1.活性酸素の生成抑制-光化学系(PS)Iでの循環的電子伝達反応は光ストレス下で活性酸素の生成を抑制する。これにはΔpH生成によるPS IIのdown-regulationなどによるが、循環的電子伝達反応の分子機構は明らかにされていなかった。そこでシアノバクテリアとトウモロコシについて循環的電子伝達に関与する電子相体分子について研究した。 1)シアノバクテリアークロロフィル蛍光、P700の酸化還元の測定からNADPHからチラコイド膜プラストキノへの電子移動がピリジンヌクレオチドデヒドロゲナーゼ(NDH)をもたない変異種では進行しないことをシアノバクテリアSynechocystis 6803のスフェロプラストなどを用いて証明し、NADPHを経由する循環的電子伝達反応がNDHにより生ずることを明らかにした。さらに、循環的電子伝達反応に関与するNDHがチラコイド膜に結合していることを証明し、さらにNDHがフェレドキシン(Fd)を中間体とする循環的電子伝達反応にも関与していることを証明した。なお、藻類での温度、透過圧によるstate transitionをクロロフィル蛍光などで証明すると共に、藻類でのクロロフィル蛍光測定について植物と異なる注意すべき点を明らかにした。 2)トウモロコシートウモロコシの葉肉細胞葉緑体チラコイド膜でフェレドキシン(Fd)依存の循環的電子伝達反応にこれまで未知の(メナジオールで還元される)低い電位をもつシトクロムb-559が電子担体となることをLED-アレイスペクトフォトメーターを用い証明した。このFd依存の循環的電子伝達反応はアンチマイシンによって阻害されΔpH形成が低下するが、同時にシトクロムb-559の赤外光による還元も阻害され、両者が密接に関係していることを示した。別にトウモロコシ葉を用い、クロロフィル蛍光、P700の光による酸化還元の変化から循環的電子伝達のin vivoでの測定法を開発しC4植物ではこの系の電子移動が活発であることを証明した。 3)葉緑体での活性酸素生成とO_2^--依存の循環的電子伝達-光による酸素還元のpHの影響を詳しく解析し、O_2がチラコイド膜内で生成し、H^+濃度が低いときはO_2^-依存の循環的電子伝達反応があることを証明した。さらに、アスコルビン酸ラジカルのESRによる測定からも、チラコイド膜の外にあるアスコルビン酸と反応できるO_2^-の量は反応中心当たり1より低く、膜の中でO_2^-依存のPS I循環的電子伝達反応のあることを示唆した。同時に生葉での光によるアスコルビン酸ラジカル生成を測定する方法を開発すると共に、これが葉のストレス緩和能の指標となることを明らかにした。 2.活性酸素の消去-1.に述べた機構によって活性酸素の生成は抑えられているが、しかし、活性酸素は生成したその場で消去されなければCO_2固定系酸素を失活させる。活性酸素消去酵素の葉緑体内での分布と分子的性質について以下の点を明らかにした。 1)葉緑体活性酸素消去系のミクロ分布-チラコイド膜に結合しているO_2^-,H_2O_2消去系とストロマに局在している消去系があることをSOD、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)、モノデヒドロアスコルビン酸(MDA)レダクターゼの細胞学的分布、免疫電子顕微鏡による解析、MDAのFdによる還元反応などから証明し、葉緑体内でO_2^-,H_2O_2は生成したその場(チラコイド膜表面5 nm以内)で大部分消去されることを明らかにした。 2)消去酵素の分子的性質-APX,MDAレダクターゼを単離精製してその性質を調べると共に、大腸菌で大量発現させた。これらを用い、さらに詳細な両酵素の分子的性質を明らかにした。
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